最悪なスタートダッシュ 壱
入学式。
それは学校生活を始めるのには欠かせない行事だ。
入学式で何かやらかす。つまり、それは学校生活での「死」を表す。
そんな重要な場で心配もしていなかった事が起こってしまった。
俺は、やらかしてしまったのだ。
ー前日ー
「ついに明日が入学式か。」
俺は入学式に向けて期待を膨らませていた。
俺が入学する学校は特に有名だったり難関校という訳でもない、私立高校だ。
特に将来の事も決まっていなかったので家から近かった、という軽薄な理由で入学した。
まぁ、将来の事を決める時間もまだあるだろうし、大学をちゃんと選べばどうにかなるのかな。
「えっと…明日の準備は、と。
うん、これで大丈夫だな。明日のためにも早く寝ないとな。」
電気を消して布団に入る。
やっぱ布団が1番だな。
そんな事を考えながら、目を瞑り眠ろうとする。
だが、目が冴えていて寝付けない。
(寝れない…少しぐらい携帯見ても大丈夫だよね。)
この判断が後々大変な事になることをまだ彼は知らない。
ふと、時間が気になり、時計を見る。
まだ、そんなに時間は経っていないはず。
しかし、時計が示していた時間は午前3時。
「…え…やばっ!寝ないと!」
急いで眠りにつこうとする。
しかし、焦れば焦るほど眠気は遠ざかっていく。
そんなこんなで時間は午前5時に。
やっと寝付けた。
明日に響かないといいけど。
ー入学式当日ー
朝7時に目が覚める。
「んん…超眠い…起きないと…」
頭では起きないといけない事を分かっている。
だが体は動かない。
布団によるきついきつい拘束によって起きられないのだ。
布団と格闘する事20分。
見かねた母が加勢。この戦闘は勝利を収めた。
「ほら、早く準備して!8時から学校でしょ?
ちょっと急がないと遅れるわよ。」
「うんー…分かった…」
「ちょっと、あんた大丈夫?顔色悪いけど。」
「大丈夫。眠いだけだから…」
「ならいいけど。ほら、起きて。ご飯食べちゃいなさい。」
急いでご飯を平らげ、着替え始める。
新しい制服。中学の時には縁が無かったブレザータイプの制服だ。学ランよりも断然かっこいい。
「よし、準備完了。母さーん!準備できたー?」
「今出来たわよー!そろそろ主発するわよー。」
物凄く楽しみだ。
新しい面子。昔からの友達。
どんな学校生活を送れるのか、期待に押しつぶされそうだ。
そんな事を考えながら、歩くこと10分。
学校に到着した。
校門には入学式の文字。改めて高校生になったことを実感する。
既に写真を撮っている家族もいる。
我が家には父はいない。俺が生まれてすぐ離婚してしまったそうだ。
だから母と父と一緒に写真を撮っている家族が少し羨ましい。
母さんは女で一つで俺をここまで育ててくれた。
感謝しないとな。
「母さん。今までありがとうね。」
「改まってどうしたの。ほら、頑張って。また後でね。」
母さんと別れ、俺は下駄箱を通り体育館に向かう。
下駄箱の外にクラス分けが書いてあったのでしっかり読んでおこう。
うん。俺は二組か。
体育館では大半の生徒が既に座っていた。
座席はクラスごとに別れていた。
さっきクラスをしっかり確認しておいて良かったな。
自分の席を探し、席につく。
ぱっと見た感じすぐ近くには中学からの友達はいないな。
座ると、忘れていた眠気が襲ってきた。
襲ってきたのは眠気だけでなく、緊張もやってきて具合が悪くなってくる。
(少し吐き気がするけど…俺の三半規管頑張ってくれよ…!)
そして入学式は始まる。
最初のうちはなんとか耐えていた。
だがしかし、ついにその時が来てしまった。
そう。
俺の三半規管が崩壊してしまったのである。
入学式の途中で俺の口からは汚い液体が流れ出る。
一瞬で周りは静寂に包まれ、俺の汚い声のみが聞こえる。
「ちょっと!君!大丈夫か!取り敢えず保健室に!」
「はい…すみません…」
終わった。
俺の学校生活確実に終わった。
あぁ、死にたい。
俺の頭はもう真っ白になっていた。
何も考えられなかった。
気づいたら俺は保健室の椅子に座っていた。
このまま消えてなくなりたい。
そう思っているうちにまた眠気に襲われそのまま眠りに落ちる。
初めまして!
麻婆と申します。
最近小説を書き始めさせて頂きました。
これが始めての作品で至らぬところが多いと思いますが温かい目で見ていただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。_(._.)_