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《ナルキッソスの呪い》

 ナルキッソスはただの愚か者ではない、彼は呪われていたのだ――――。




 他人を愛せない、見目麗しい少年がいた。他人の愛し方を知らなかった。



 更にそこへ復讐の神が呪いをかけ、少年は世界でたった一人しか愛せないようにされた。



 彼は何よりも大切な《鏡》を死守し、その先の人間を愛し、微笑む鏡像だけを心から信じた。




 呪いだったのだ、それしか生きる術がなかったのだ、それでも汝は少年を嘲笑うか?




 やがて彼は、鏡と共に朽ち果てていく。


 ささやかな愛が満ち溢れていた遠い過去を想い、嘆きながら。



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