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「お可愛らしい!」
ユキの後ろでサリーが音のない拍手をしながら声を上げた。
目の前の姿見には、着飾ったユキが映っている。
正直なところを言おう。全く可愛くない。
黄色みをおびた白肌は、白いレースの襟のピンクのドレスには合ってないし、黒い髪を結い上げると頭がでかく見える(正確には半結のアゲアゲ・ヘアだ)。
なのに何で、あえて頭に目が行くように小花散らすかなぁ。
どうやらユキのファッションセンスと、こちらのそれとには隔たりがあるらしい。
まぁ仕方ない。
ユキのノリがイマイチなのには気付かず、サリーを残して他のメイドは片付けてをして部屋を出ていった。
「ユキ様。本日は決してヨシュア様のおそばを離れませんように」
今日のお呼ばれが決まった時から、再三言われている注意事項を繰り返される。
今日のお呼ばれは、レビラ男爵家嫡男のカリーム様とやらの誕生日会(実際のはもっと大仰な名前がついていたが、忘れた)なのだ。
サリーの婉曲な説明では分かりづらかったが、カリームは性格(正しくは性癖)に問題があるらしい。
それは結構有名らしく、伯爵家としては隣家に(正確には何キロも離れた土地にあるが)ユキを一人で向かわせたくないという意向から、ヨシュアを一緒に参加させるように要請したらしい。
確かに女児一人で出かけさせる貴族はいない。
男爵家もそう判断して許可したらしいが、主役のカリームが反対した。
曰く、ヨシュアは16歳で子供とは言えないというのである。
・・・・イヤイヤ、あんた17歳ですやん。
と、総ツッコミを受けて引き下がったらしいが、全くもって訳のわからない奴である。
17歳で子供を呼んだお誕生会をする男爵家も、子煩悩なのかもしれないが相当に変わってる。
ちなみに、この国では成人という概念がない。
職に就いたり結婚すると大人とみなされる。
男であれば18前後。女であれば15歳前後で大人の仲間入りをするのが一般的のようだ。
ユキも今年は14歳。そろそろ婚活を始めなければならない。
果たして伯爵家とはいえ得体のしれない養女が結婚できるかわからないが、そうなったらなったで愛人の座を狙えば良い。
ミステリアス路線なら行けるはずだ。
「よし。出会いを探そう」
「何またロクでもないことを考えてるの」
色々考えているうちに馬車に乗っていたらしい。
隣に座ったヨシュアから胡乱げに見られていた。




