21 【回想2】
【回想2】
雪だ。今年初めての雪。地面に落ちる前に溶けてしまいそうなぐらい儚い。
とは言え冬だ。さすがに寒く、薄手のコートしか着ていない雪は身震いしながら正面に立つ『元取り巻き』を見た。
「話ってなに?早く済ませて」
「・・・」
「風邪ひきそうなの。何もないなら行くわよ?」
「まって!は、話があるのはそっちじゃないの?!」
「何のこと?私は別に話なんか無いわよ。あるのはそちでしょ?こんなところに呼び出したり、急に無視しだしたりして」
最後は吐き捨てるように言った。目の前の女は、元々雪の取り巻きの一人だ。大学では、人気のある雪の恩恵に預かりたがるクラスメイトが多く、いつも雪の周りは人で溢れていた。
目の前の女生徒も、その一人で先週まではコンパしようだの何だのと纏わり着いてきていた。その癖、今週になって急に無視し出すようになったのだ。
別に一人減ったところで補充は幾らでもきくのだからと、特に気にしていなかったが、あからさまな態度にはムカついていた。
「・・・さんと付き合ってるの?」
「何?」
「佐野さんと付き合ってるのって聞いてるの!」
「佐野君?まさか、付き合ってるわけないでしょ」
「でも、この間の金曜日に佐野君の家から出てきたって・・・」
何の話かと眉間に皺を寄せ、あぁあの事かと思い至る。
「確かに、金曜日は佐野君の家に泊まったわよ。終電逃しちゃったし、飲んでない人がいなくてアシも無かったから」
「な、なんでよ!」
「なんでって?はぁ、もう、何が聞きたいの?」
「雪は沢山ボーイフレンドいるんでしょ?なんで、なんで佐野君にまで手をだすのよ!」
そこでようやく、この呼び出しの真意が分かる。
「え?あなた佐野君と付き合ってたの?佐野君、彼女なんかいないって言ってたわよ」
その通りだ。彼自身がそう言ったから、ベッドに入ったのだ。仮に、二人が付き合っていたのだとしても、嘘をついたのはあの男。なんでこちらに矛先を向けるのかわからないし不快だ。
「ま、まだはっきりと付き合うって話したわけじゃ・・・でも、周りにだって認められてるし、佐野君だって、」
「ふぅん。付き合ってないならさ、アレコレ言われる筋合いじゃないよね?」
「何、その言い方!人の男ばっかり狙って!あんた、皆からなんて呼ばれてるのか知ってる?公衆便所よ!!」
男に騙されてたんだとしても自業自得だし、それを騙した男じゃなくコッチに向けてくるのにも腹が立つ。
周りって何よ?頭悪すぎる。
「へぇ、じゃあ、あなたは何て呼ばれてるの?簡易トイレ?現地妻?どっちにしても、男を繋ぎとめる程の顔も体も頭も無いなんて、ほんと、お気の毒。あとは二人でお話でもなんでもしてね?私を巻き込まないで」
その後は・・・本当にムカつく・・・。
言いがかり吹っかけてきた上に、とびかかってくるなんて。腕のひっかき傷がヒリヒリする。お気に入りの白いコートは汚れるし。ブスってなんでヒステリーが多いんだろう?
てか、あんな早漏、そんなにやっきになって捕まえとく必要あるのかな?まぁ、次が捕まらない残念な子なんだろうな。
次からは平凡男に手を付けるのは控えよう。やっぱり、イケメンの方がお互い後腐れないね。
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