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「ユキは午後から黒の塔?」


食堂で隣に腰掛けた少女が訪ねる。少女の名前はミーナ。ヴェルチ男爵のご令嬢だ。

初日こそ目新しさにつられて話しかけてきたクラスメイトだったが、1ヶ月も経つとこれまでのグループに戻っていった。そんな中、ユキに話しかけ続けてくれたのが、このミーナである。

明るい赤毛と緑の瞳の女の子で、いつもにこにこと愛らしい。本人は白すぎる肌に浮かぶそばかすが大嫌いで、同じ色白のユキの肌をうらやましがるが、ユキからしてみれば、お人形のように可愛くて、クラスの男子からお姫様扱いされるミーナの方がうらやましい。


「うん。ミーナは白の塔?」

「うん。行きたくないなぁー。落ちこぼれを見る皆の視線が痛いんだよねー」


黒の塔は魔術クラスのある塔。白の塔は医術クラスのある塔。

ユキと同じくミーナも特別クラスの単位修得が課せられている。

ミーナは今年、医術クラスから転籍してきた。本人曰く、医術クラスに残れるだけの能力が無く転籍させられたらしい。とは言っても、1年間は様子見で医術クラスの一部講習を受けなけらばならないということだった。

ユキとは、お互い属するグループも無く、実習でペアにされることも多かったため、必然的に話す機会が多い。

口調も初めこそ互いに丁寧だったが、伯爵位、つまり上位のユキが砕けた口調で話したのを機に、ミーナも遠慮なく話してくれるようになった。もちろん周りに人がいるところでは、「うふふ」「おほほ」の口調である。

腹を割って話せるクラスメイト・・・。お友達第1号かもしれない。

ユキは密かにときめいている。


「全力で同意する。私も行きたくない・・・」

「・・・今日は実習?」

「う・・・。魔道具無しで攻撃魔法を防御する練習」

「な、なんか予想できるね。皆からフルボッコされるユキ・・・」

「やめて!言わないで!」

「まーね、まだ1カ月もたってないんだもんね!これから、これから!」

「いやいやいやいや、明らかに魔力とか無いから。羽を飛ばす練習の時だって、鼻息でしか飛ばないんだよ!?先生の溜息で飛んでくれた方が、なんぼかマシか・・・。もう魔術クラスの単位とかいらないし!」

「魔術クラス、競争率激しいんだよー。入りたくても入れない人に、そんな事聞かれたら大変だよ」

「分かってるけど・・・。身に余りすぎる」


呆れた様なミーナの目が痛い。

でも本当に辛いんだって!先生以外からは空気扱い!既に生暖かいのも冷たいのも、視線すら向けてもらえていません!


ちなみに。魔術の初級クラスとはいえ、それなりに能力のある子はいる。例えば、攻撃魔法にもひと工夫を入れて、単に攻撃するのではなく防御の弱いところを狙う呪文をアレンジしちゃったりする。

弱いどころかノー防御のユキが、予想通りに攻撃魔法をくらって意識の遠のく中で考えたのは・・・


絶対真面目に取り組むので、『いい子』学クラス作ってください・・・



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