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初登校。馬車での長時間通学は辛いけど、予想通りのホグ☆ィッツ魔法学校風、王都学園の雰囲気に心が弾む。
本来なら数週間前の試験の際に学園案内もしてもらえるはずだったが、試験中にダウンしてしまい学園内に不案内のため、ヨシュアに寄り道して一般教養の初級クラスに連れて行ってもらった。頑張れの言葉を頂き席に着く。
なんだか新鮮な感じ。色々な年齢の子がいる。一番小さな子は多分5~6歳だろう。平均的には10歳前後が多い感じだ。そして見た目はともかく、ユキが一番の年長の気がする。
なんとなく視線を感じるのは、初級クラスにあるまじき年齢だからだろうか?
学園は最年少で5歳から、18歳までを対象に入園を許可しており、年齢別ではなく能力と単位修得率で昇級が決まるらしい。取りあえず初めての学校のため、ユキは初級クラスからのスタートとなった。
最長老なのは仕方ないな・・・。よし、まずは伯爵が望む通り、社交性を身につけるべく頑張ろう。でもって、ついでに将来に向け知恵と人脈を築こう。
エイエイオー!心の中で拳を振り上げた。
・・・全然ダメだった。全然イケなかった。
何がいけなかったんだろう・・・。アレかな?自己紹介でがっつか無いように控えめに名前しか言わなかったからかな?他の人は得意分野だの趣味だのお家自慢だのしてたのに空気読めてなかった?でもでも、趣味もないし得意分野なんて知らないし、お家だって自分のじゃないから自慢にもならないし・・・。
学園登校初日。昼食時間、ボッチで席に固まるユキに誰も声をかけてくれないまま教室は無人になった。
どこかに2か所ほど食堂があって、そのどちらかでランチを取ることになっているらしいのだが、場所が分からない。こうなったら昼抜き覚悟で探検に出かけるしかない。
「あ、いた。おいで、一緒に食事に行くよ」
救いの神、ヨシュアの声がした。涙目でヨシュアに駆け寄る。
「なんか失敗した!HRも休憩時間も、誰とも仲良くなれなかった!頑張って話しかけたけど無視された。何がダメだったんだろう・・・」
「仕方ないよ。初級とはいえ一般教養クラスの殆どは家族ぐるみの付き合いがあって顔見知りも多いから・・・」
ヨシュアは鼻を啜り目を擦りながら歩くユキが哀れに見えたのか手を引いてくれる。泣きべそなんて不本意だが、久しぶりの社会の冷たさに身も心も凍ってしまった。
暖かい伯爵家に帰りたい・・・。
食堂に着き周りを見渡すと、一般教養クラスが並ぶ棟では見かけなかった、色々な制服姿の生徒がいた。ローブを纏った生徒は魔術クラスだろう。アオザイみたいな制服は何クラスだろうか。
それから家の近所では見かけなかった異種族もいる。じろじろ見るのは失礼かもしれないので、横目で様子を伺う。カラー絵図付き種族図鑑で勉強したので、いちいち顔には出ていないとは思うが、やはり驚く。
肌が灰色から黒に近く、髪にグラデーションかかった種族は多分魔族。魔力が強い種族と言われるだけあって、ローブを着た生徒が多い。
体に獣の部位があるのは獣族。尻尾や耳だけなら可愛い!で済むが、頭部が動物そのものだったりすると、流石に引く。同じクラスにも狼?犬?の獣族の子がいたけど、表情が分からなくて怖かった。声はちゃんと出てたけど、声帯はどうなってるんだ。
家でヨシュアに種族図鑑を見ながら教わった話では、一般的に人種間の優劣はあるけど、王都学園の生徒である以上、異種族であっても自種族の貴族であったり、大使等の高官クラスの子供だろうということだ。
ちなみに優劣とは、互いに付け合う優劣で、自分の種族が一番凄いという単なる自己申告。でもその主張が激しくなり、戦争にまで発展した歴史もあるらしい。
周りを興味深く観察しながら、ヨシュアに手を引かれ列に並ぶと、前方に同じクラスの女子の団体がいた。手を振るべきか微笑むべきか、どんな態度が好印象を与えるかを考えているうちに、ツンと顔を背けられる。
うぅ・・・なんで~。あ、もしかして・・・
「ねぇ、やっぱりこの見た目がダメなのかな?」
「・・・」
ヨシュアの表情が無くなる。最近気が付いたが、ヨシュアは肯定も否定もできず、なおかつ無視も出来ないない時に無表情になってしまうのだ。なので答えは是ということだろう。
やっぱりそうか。オンリーワンの道は険しいらしい。見慣れないという理由だけなら時間をかければ何とかなるかもしれない。でも、生理的に無理ということなら・・・
「・・・ヨシュア。私、気持ち悪い感じ?」
「は?」
「見た目、気持ち悪い?」
情報溢れる世界から来たユキが、初めて見る異種族に引くぐらいだから、もしかするとユキのこの容姿に嫌悪感を持つ人もいるのかもしれない。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「そうか、ん?・・・っ!?」
「ユキは可愛いよ」
ヨシュアは突然、無表情のままでユキの頬にキスをし、兄バカ発言をした。
視界に美形のアップなんて心臓に悪いわ!気持ち悪くないを体で表現してくれたのだろうとは思うけど。
あれ?なんか静か・・・
周りを見ると・・・順番待ちの生徒たちに注目されていた。
喧騒が途絶えたのは一瞬で、すぐに別の意味で騒がしくなった。




