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カーテンを潜ると、隣は暗い小部屋だった。窓はなく部屋の四方の壁は天井まで棚になっていて、まばらに本や瓶が置かれている。

一瞬、地震が来たらどうするんだろうと思い、この世界には地震はないのかもしれないと思い至る。

中央には小さく簡易なベッドがおかれており、その枕元に三人のローブを被った人が立っているのに気がついた。

気配を感じなかったので、ちょっと驚く。

三人の顔はローブのかげで見えない。それぞれが、砂時計のようで中が水と油が入ったもの、紐の先に銀色の玉をつけたもの、大判の方位磁石のようなものを持っていた。


「あそこに横になってください」


ラリーがベッドまで手をとって誘導してくれる。相変わらず動かない三人に怯えながらもベッドに横になると、毛布のようなもで足先から胸元までを隠してくれた。


「今から少しの間、目を閉じてじっとして下さいね。お体に触れることは御座いませんし、痛いことも致しません。あなたの潜在的な力を見て、適した学舎を決めさせて頂きます。さ、目を閉じて。肩の力を抜きましょう」


ラリーに言われるがまま目を閉じる。枕元のフードの人が動く気配がした。

こっそり目を開けると、両手で持った砂時計もどきをユキの頭上に掲げ、何やら呟いている。中の分離した油のようなものが薄く発光しゆるゆると動いている。暫くそれが続いたが、それ以上はなにもない。

銀色の玉を持った人も、同じように頭の上に掲げて呪文を唱えるが、特に何もない。


痛くも何もないが退屈だ。目を閉じて終わるのを待つ。すると何か擦れるような音がし始めた。シャリシャリと鳴るそれは、始めはゆっくりと、しかし徐々に勢いを増し、シュッシュと鋭く鳴り出した。

目を開けると、方位磁石もどきを持った人が狼狽えた様子で、それを園長に差し出している。事務官も近づいて、それを覗きこんでいる。


一体なんだろうと考えていると、園長が近づいてきた。


「ユキ。いま、あなたの魔力、武力、知力を調べたんじゃが、知力だけが我々の知る反応の何れにも当てはまらず、それゆえ判断がつきかねる。無理にとは言わんが、ちょっとだけ頭を覗かせてくれんか?」


ええ?!頭を覗くって、なんか怖い。前世が見えるのは不味くない?明かに異世界だよね?


「言葉通り見るわけではない。感覚を共有するだけだから、ユキの私生活を覗くようなことにはならんよ。ちょっとだけワシもユキも疲れを感じてしまうだけじゃ」


園長が笑いを含む声でいった言葉は、半分しか理解できないが、近代的な世界の映像を見られる訳じゃないのなら良いだろう。


「付き添ってきたものに話してきます」


ユキが同意して頷くと、ラリーがカーテンを開けて出ていった。漏れ入る光は弱く、随時と時間がたっていることに気がついた。家を出たのが昼過ぎ。学園まで2時間ぐらいした気がするので、今が夕方なら少なくとも一時間はたっていることになる。


ヨシュア、随分待たせてる。先に帰っててって言うべきだったかな?


そう思うも、やはり心細い。利己的だとは思いながらも、待っていてほしいと考える。


「では、ワシの手を額に乗せるで、動かんように。少し目が回る感じがするかもしれん。目をつぶっておきなさい。気分が悪くなるようなら、手をあげて知らせておくれ。無理に動いて術が途切れると、余計な負担がかかるでな」


ラリーが戻り、園長に頷きかけると、園長がユキに言った。

そして、乾いた温かい手が額と目を覆った。


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