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裁きの土俵

作者: 藤乃花
掲載日:2025/10/19

観客側視点のストーリーです

大食いバトルが繰り広げられているカレー店では、観客達が二人のフードファイターを取り囲み、バトルの行く末を見守っている。


てんこ盛りカレーを頬張るのは、前回チャンピオンとチャレンジャー。


二人とも食べ盛りでしかも男子なので、どんな量のカレーもバクバクいける。


観客の中には勝負が好きな少年、勝利かつとしもおり、熱いバトルに見いっていた。


「二人とも、なかなかの食べっぷりだ!

このバトル、どっちが勝っても良い結果になりそうだな!」


前回チャンピオン、チャレンジャー、食べる速度が頗る速く、勝ちは譲らないといった姿勢を見せている。


「ん?」


勝利かつとしの目に、妙な動きが映り込んだ。


チャレンジャーのスプーンを持っている手が、一瞬捻りを見せた気がした。


(今のは……あっ‼)


今度は、はっきり見えた。


チャレンジャーはスプーンを素早く捻り、隣の席の前回チャンピオンのカレー皿へと自身のカレーを小分けにして放っていたのだ。


(イカサマだ‼)


許せない行為だ。


しかし、チャレンジャーの手の捻る動きが俊敏すぎる為、証言しても信用されない事は分かっている。


(自分は食べずに楽をして、ライバルに押し付けるのか。

正しくない行為……阻止する!)


勝利かつとしは観客の輪から外れ、少し離れた場所で『裁き』を行う事にした。


肩に掛けている鞄から、人形の駒二体と土俵を取り出した。


片方の駒に『前回チャンピオン』と記し、もう片方の駒には『チャレンジャー』と記し、土俵の上に乗せた。


「勝負の神様……正しい裁きを下したまえ……!」


勝利かつとしが土俵を両手で叩くと、そこから念が放たれた。


放たれた念は、二人のフードファイターのもとへと向かっていく。


(変だな……食べても食べても、いっこうに減らない)


(へへっ、このバトルで貴様はチャンピオンの座から降りるんだ!

俺がフード界のチャンピ……)


「おあっ‼」


チャレンジャーの口から叫び声、手からスプーンがカレーを乗せたまま空中に飛び出した。


何度も捻りを効かせたせいで、腱鞘炎けんしょうえんを起こしてしまったのだ。


「おい!

そのスプーンはなんだ⁉」


「動きが変だったぞ‼」


「誰か撮影してた人、いませんか⁉

再生して、確かめて‼」


念は土俵へと戻った。


「う……フードファイターとして、目立ちたかったんだよう‼」


チャレンジャーの鳴き声が、カレー皿の上に落ちた。


「それならば、胃袋に磨きをかければ良いフードファイターとして目立てるよ」


前回チャンピオンが、チャレンジャーの心にスパイスをかけた。


この言葉は、勝負好きの勝利かつとしの心にスパイスをかけてくれた。


「勝負に真剣に挑む人は、やっぱり格好いい‼」


土俵の上には、仁王立ちしている人形と倒れ込んでいる人形とが、今の結末を示していた。


































変な部分が在ればお知らせお待ちしています

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