第六話 新時代の幕開け
放送「ただいまより、新総学園創立を記念した文化祭の開催を宣言いたします。」
相馬「ふぅ、なんとか間に合ったな健太」
健太「ああ、まるで寝てねえぜ、まさか当日まで俺の武具完成に時間がかかっちまうとはな」
相馬「こんな状態で戦うなんてやばいなとりあえず初戦は午後からだから少しだけ寝ようぜ」
健太「そうだな」
(ドンっ)
部屋の扉が強く開いた
咲「あー、やっぱり寝てる!」
相馬「さ、咲か。すまんが少し寝かせてくれ」
咲「ダメよ。私たちは一応この学校のトップになったんだから。しっかりと全て見届けないと!それじゃあいくよ!」
そう言って相馬の腕を掴み、少し強引に部屋から出そうとする。
相馬「わ、わかったから少し待ってくれ!」
咲「?」
相馬「こんな時のためにいつしか作ってたこれ、『三大欲求保管機』の出番だ!」
健太「なんだそれは?」
相馬「三代欲求と言われる食欲、性欲、睡眠欲を一時的に保管する機械だ。ただし注意点がいくつかある。今あるだけの欲求を保管するため、新たに出てくる欲求は対象外だと言うこと、あとは三大欲求の一つだけを保管することはできない、3つ全て持っていかれること、複数人の欲求を保管することは可能だが、返却は1人のみ、欲求が混ざり合ってしまうからな。さらに保管時間が伸びれば伸びるほど保管されている欲求は増えていく、何より欲求返却時の負担はやばいからな。三大欲求だけでなく、対象に存在するほとんどの欲求にも負荷がかかる。まるで掛け算したかのようにその欲求に襲われる感じだ」
咲(この自分の発明品について話してる時の相馬、ちょっとかわいい、じゃなくて)
咲「やばくない!その機械!」
相馬「背に腹はかえられん。その代わり、もしこの反動で君を傷つけたらごめん、先に謝っておく。」
咲「??」
健太(なるほど、そう言うことか)
健太「まあなんとかなるっしょ、それじゃあ俺も使わせてもらおうかな」
相馬「押し付けやがって」
そうして機械に欲求を収める2人。収め終わり、蓋を閉めて棚にしまう。
咲「これで大丈夫だね、それじゃあ行きましょう!」
健太「おー!」
相馬「お、おー」
まずは武具鍛治の展示場へ出向く3人、思ったより来場者の多い光景に3人とも少し心が躍る。
咲「なんだかわくわくするね♪」
健太「ここが武具の展示場か、早く行こうぜ」
3人が入ると場内は、少しざわつく。
武具鍛治生徒1「きたぞ、総合会長だ」
武具鍛治生徒2「高屋相馬だ、隣にはこないだ戦ってた奴もいるぞ」
相馬「な、なんだかやりづらいな」
咲「相馬のしか普段見ないからね、ぜひ見てみたいな。相馬、誰かオススメの人とかいる?」
相馬「うーん、3人くらいいるかな、でも俺のが1番だ」
咲「もう、そんなに自信があるなら成績トップくらい取ってみなさいよ」
相馬「まあ、いつかな。とりあえずあいつだけは話したいからとりあえず行こうぜ」
奥の方に向かって指をさす。
咲「行きましょう!」
向かっていったところにはなんとも怯えていて、発表のできそうな様子ではなさそうな人だった。
相馬「よう!芯!」
芯「わっ!」
彼は明静芯。見た目はとても小さくてボーイッシュで可愛いが、いわゆる男の娘である。彼は成績は相馬と同じくドベクラスだが、相馬と違って実力的に周りと差がある。そんな彼に相馬が一目置いている理由は、思想とそれに沿った発想力だ。
―数年前の過去回想―
相馬「おまえ、そんなに怯えてどうした?」
芯「わっ!た、高屋さん!」
芯の両手に収まっている紙をチラッと見る相馬。
相馬「なるほどな、成績が振るわなかったのか」
芯「ぼっ、僕には才能がないんだよ。作りたいものも上手く作れないし、下から2番目だからここにいる誰よりも劣ってるんだ」
今にも泣き出しそうな芯。励ますように相馬が喋る。
相馬「安心しな!これを見ろ!」
そう言って芯に一枚の紙を突き出す。
芯「凄い成績…って、あれ?最下位?」
相馬「つまりだ、お前は俺より優れているってことだ、自信持て!」
芯「ぼっ、僕は!人を殺すための武器なんて作りたくないんだ!作りたくもないものに腕が振るうわけないじゃん!」
相馬「…‼︎」
思ったより大きな声で少しびっくりする相馬、周りに誰もいない教室の中、少しこだまするように響いた。
相馬「なるほど、優しいんだな、君は」
芯「僕が上手に作れたのはこれだけ、『耐性パッチ』。身につけるだけで毒とか麻痺とか、あらゆる危険から少しだけ守ってくれるものだよ。人を殺さない、守るためのものだから上手く作れたんだ。」
相馬「!…君は凄いな。俺もあんたみたいになりたいな」
芯「なりたいんなら変わって欲しいよ」
相馬「評価方法に囚われるな!その人を守るための技術、必ず君が評価される時代が来る!だから負けるな!」
芯「!!僕が評価される時代!」
相馬「そうだ」
芯「…わかった、頑張ってみるよ!ありがとう高屋さん!」
―――
芯「た、高屋さん!それと会長の…」
咲「河原井咲よ。よろしくね!」
芯「何しに来たんですか?」
相馬「そんなのあんたと話したかったから来たんだよ」
芯「あなたは私を買い被りすぎですよ。今回だって他の人に比べたら僕のはつまらない展示です。『仮想戦闘ゴーグル』。ぜひつけて動いてみてください。」
咲「わかったわ。こうでいいかしら?」
芯「はい。それでは、スイッチを押させていただきます。」
(カチっ)
すると、咲の体がピタリと動きを止める。
相馬、健太「⁈」
健太「なんだ!全く動かなくなったぞ⁈」
芯「はい。これで彼女は仮想戦闘でどれだけ激しく動いても現実のこちらには何も干渉がありません。よって狭い空間でも訓練ができるものになってます。一応注意点としましては彼女の意識はゴーグル側にあるので、この状態でゴーグルを壊すと彼女の意識まで壊れてしまいます。あとはゴーグルとリンクしているのでこちらでちょっかいをかけると仮想戦闘の邪魔になってしまいます。って、聞いてますか!ちょっかいかけると!」
相馬と健太は目を合わせ、頷く。そして咲の体をくすぐり始める。
芯「ちょ、ちょっとー!」
相馬「こうすれば訓練の妨害ができると」
咲「……っ!…あは、あはははは!」
芯は慌ててゴーグルを解除し、取り外す。
咲「はぁ、ちょっと、負けちゃったじゃないの!」
相馬「どうだった咲?使ってみて」
咲「全く、けど凄いわねこれ!よくできてるよ。欠陥も少なからずあるけど普通仮想戦闘なんて思いつかないわ!」
相馬「なっ?いい展示じゃないか芯」
芯「!!あっ、ありがとうございましゅ!」
少し下を向いて目線を合わせようとはしなかった。
芯「ぼ、僕は人が傷つくことが嫌なんです。けれどここにいる以上戦闘に関係するものを作らなければなりません。仮想戦闘は誰も傷つかずに訓練できる、僕も閃いた時はワクワクが止まりませんでした。」
咲「優しいのね、それじゃあ凄いのができたらまた見せて欲しいな」
芯「は、はい!ありがとうございます!」
相馬「芯は流石だな、なあ、一つ提案があるんだがいいか?」
芯「?提案とはなんでしょうか」
相馬「今度、いやいつでもいい、俺と共同制作してみないか?」
芯「そんな!僕がいても足を引っ張るだけですよ!」
相馬「それなら俺があんたにとっておきの技術を教えてやるよ。あんたのスキルアップになると約束する。一緒にやってみないか!」
芯「わっ、わかりました!近いうちに色々片付けて必ず時間をつくります!」
相馬「よし!その意気だ芯!」
芯と相馬は握手を交わす。
咲、健太(いい友達を持ったな)
咲「それじゃあ私たちはそろそろ他のところも見に行かないとね」
相馬「そうだな、じゃあな芯、また連絡する」
芯「ありがとうございます。それではこの後も頑張ってください!」
相馬「おう!」
そして他にも武具鍛治の展示をいくつか見てから咲は次の場所へ、健太と相馬はトーナメントの準備に向かうのだった。
母公「あら、咲さん」
咲「育実さん!」
母公「堅苦しいのは無しにしましょ、せっかくなら育ねえって呼んでほしいわ」
咲「わ、わかりました。い、育ねえ」
母公「で、時間は大丈夫なの?もうほとんどのトーナメント出場者は準備してるはずだけれど」
咲「ええ、でも私はこれでも会長だから、全部見て回りたいの。」
母公「源限から何か聞いているのね、まあとりあえず今回のトーナメント、源限は参加しなくてよかったわ」
咲「ええ、そうですね。あの人は1人で中規模の軍隊を滅ぼしたこともあるくらい強いらしいから」
母公「まあそれはそうと少し見ていきます?私たちは個人販売で色々なものを売っておりますわ」
咲「はいぜひ見ていきます。ところで育ねえの販売は大丈夫なのでしょうか?」
母公「ええ、開催5分で売り切れたわ、全くみんな可愛いんだから♪」
咲「さ、流石です…」
そして育ねえと咲の2人で販売ベースを回る。咲も気になったものがいくつかあり、購入していく。大好物のいちごのショートケーキを保存食として完成させたものや普通のと比べて何倍も長持ちするシューズ、何より1番惹かれたのは学生のお守り。全校生徒をこの短期間で全て調べ上げ、全校生徒分の一頭身ドールキーホルダーを作った人がいたそうな。咲は自分とと相馬、ついでに健太の分まで購入した。
咲「育ねえ、案内してくれてありがとう!これで心置きなくトーナメントに参加できるわ」
母公「咲ちゃん、頑張ってね!解説者として呼ばれているから応援してるわ!」
咲「えこひいきにならないようにお願いしますね…」
咲はそうしてトーナメントの準備へと向かった。
―正午―
母公「ということで、定刻になったので、本文化祭1番のイベント、戦闘科主催、『最強はだれか⁈Let'sNo. 1』開催で〜〜〜す!!!」




