9.矯正
「矯正」を行う。
簡単に言うと、「体のゆがみ」を治し、元の状態に近づけることだ。
「大丈夫です。」「大丈夫です。」「大丈夫です・・痛っ!!」」
この「痛っ!!」のところの周りをほぐしていく。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
菅谷保・・・辻鍼灸治療院の常連。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
菅谷保の場合。1ヶ月に1度は
「矯正」を行う。
簡単に言うと、「体のゆがみ」を治し、元の状態に近づけることだ。
「大丈夫です。」「大丈夫です。」「大丈夫です・・痛っ!!」」
この「痛っ!!」のところの周りをほぐしていく。
筋肉が部分的に萎縮しているのだ。
憎っくき整形外科医どもは、「骨を折ってしまいがちな危険な治療」と決めつけている。
実際は、筋肉に萎縮があるから、骨折しやすくなるのだ。
十津川先生のように、理解ある人もいるが、「砂浜に落ちた米粒を拾う」位の確立だ。
保険は効かない。だが、患者はそれでも救いを求めてくる。
痛いのだ、つらいのだ。
慎重に施術して30分。
置き針を10分。
矯正の日の針は、サービスだ。
個人事業主の勝手な判断だ。
針を抜き、立たせると、見違えるように直立だ。
こいつの場合、股間にテントを張るから分かりやすい。
「連休明けまで寒いらしい。カイロ、切れてへんか?買いだめしときや。3月に入ったら、寒くても「季節用品替え」で、ホームセンターも薬局も極端に減るからな。ネット通販も殺到して売り切れよる。季節内で余ったら、来年使ったらええねん。」
「先生。」
「惚れるなよ。高うつくさかいな。」
「はい。」
「予約お願いします。」
精算時に予約させる。
菅谷が帰ると、早めの昼休憩をした。
ハムサンド、最高やな。
―完―
針を抜き、立たせると、見違えるように直立だ。
こいつの場合、股間にテントを張るから分かりやすい。