6.吸盤
「鴻巣さん、終ったで。
私は、鴻巣の吸盤を外していった。
鴻巣は、元アナウンサーの女性だ。「電波オークション」の前の話だ。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「鴻巣さん、終ったで。
私は、鴻巣の吸盤を外していった。
鴻巣は、元アナウンサーの女性だ。「電波オークション」の前の話だ。
東京にいる頃、すっかりはまってしまい、吸盤治療もやっている所を探して、ウチに来た。
今は、大阪でフリーのアナウンサーをしている。
鴻巣がいたテレビ局では、「上納システム」なるものがあったそうだ。
飲み会の後、テレビ局関係者やタレントに女性アナウンサーに「おんなの武器」を使わせて、会社ぐるみの「ハ〇レム」世界だったという。
鴻巣は美人で肉付きもいい。所謂「男好きのする」容貌だ。
だが、吸盤治療好きが幸いした。
体質にもよるのだが、「皮膚を膨張」させることで血行・血流をよくする副作用として、跡が残ってしまうのだ。
子供の頃、「おいた」をして、親に「おつねり」されたことは無いだろうか?
また、蚊に刺されたあと、ぎゅっと抓ったら、跡が残らなかっただろうか?
あれである。
吸盤の跡が幾つもあれば、「上納」と呼ばれる「お呼ばれ」の際、殿方は、退いてしまうから、それが判明した暁に、晴れて「対象外」になり、嫌だったfsから遠ざかった。
今は、新体制になった大阪のテレビ局の男性アナウンサーと結婚、幸福な家庭を築いている。
「ほんまはあんた、計算尽くの上で吸盤治療やってたんとちゃうん?」「ばれたか。」
呆れた。治療初日から仲良くなった所以である。
それにしても、西洋医学は遅れている。吸盤をトイレのアレと混同したり、子供の玩具みたいに妄想したりしよる。
電気針なんか、感電して死ぬと思い込んでいる。んな、簡単に死ぬか!!
死刑の電気椅子を連想するらしい。アホや。
「先生、赤ちゃん出来たら、名付け親になってくれる?」
「10年待ちやな。」「えーーーーー!!」
流石、アナウンサー。芸が細かい。
昼飯、何、食べようかな?
―完―
この作品は、(主に)実体験を題材に構成しています。