表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

41.たまらん

本体のみならず、針は「個人専用」を用意していたが、消毒に手間も金もかかるし、コロニー以降、「清潔」に過敏になった世間の風潮もあって、使い捨て針だ。

 

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。

 半野啓太・・・辻鍼灸治療院の常連。

 幸田仙太郎・・・辻の後輩。


 =====================================


 私の名前は辻友紀乃。

 辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。

 旦那は「腹上死」した。嘘。

 本当は、がんだった。

 膵臓がん、って奴だ。

 私は、鍼灸師で柔道整復師だ。

 お馴染みさんは、これでも多い方だ。

 今日も、「お馴染みさん」の話。

「今日も、たっぷり虐めたるからな。覚悟しいや。」

「お願いいたします。」

 半野は、マゾだ。それが証拠に「マゾ男!!」と呼ぶと喜ぶ。

 別にSMプレイを楽しんでいる訳では無い。

 電気針には、結構投資している。

 本体のみならず、針は「個人専用」を用意していたが、消毒に手間も金もかかるし、コロニー以降、「清潔」に過敏になった世間の風潮もあって、使い捨て針だ。

 無論、これは通常の針と違い、保険適用は出来ない。

 まあ、客は覚悟をして、やってくる。

 半野も、泉南からわざわざ電車乗って週一で、やってくる。

 死刑は日本では絞首刑だが、アメリカでは電気椅子。それを連想して「いちげんさん」は怖がるから、勧めない。第一、椅子で無くベッドだ。2度以上、感電の経験があったり、サウナに付属している電気風呂を経験している者なら、「ビリビリ」が弱電で、死んだりしないことは承知だが、一般には分からない。

 メーターボルテージを少しずつ上げて行き、患者が「痛い!」と言った地点より少し下げてからタイマーをセットする。

「先生。今日は『強め』でお願いします。」

「座骨神経痛、痛いか。」

「はい。」

 今日は、心もち上げるので、つきっきりだ。

「もっと、もっと。もっと、痛い!!」

 やっぱりマゾ男や、変態や。

 あまり知られていないが、座骨神経痛は『神経』の病気だ。

『神経の凝り』だ。凝りをほぐすと、収まってくる。

 以前、次の客が親子連れでやってきて、「オッチャンがイジメられてる。」と言って、親が困ったことがある。

 私は『女王様』か。

「もっと、虐めて、とお言い!!ビシっ!!」ってか。

 まあ、それからは、予約を取る時に半野の後かどうか確認するようにはしている。

 世の中は、「死刑執行」のイメージが多く浸透していて、誤解を受けやすい。

「死んだら、どうするんですか!」などど言うアホもいる。

 死ぬような処置なら、電気針であろうと普通の針であろうと変わりは無い。

 過去に事故があったことはあったが、いずれも無免許だった。

 医療助手に入っただけで、私も出来る、と勘違いする者もレアケースだが、いる。

 そんな簡単な作業ではない、だから、国家試験なのだ。

 修行中なら、師匠格の鍼灸師がついて指導するように決まっている。

 まあ、ウチには、複数の客を相手にするような空間の余裕はない。

 従って、修行中の者を預かる場合は皆無だ。

 治療は終った。

 半野は放心状態だ。

 そんなときは、私の胸をチラ見させる。

 すると、シャキっとする。

 ショック療法だ。

「今日は、胸見たから千円足すな。」

「そんなあ。」

 待合室で、幸田がクスクス笑っている。


 半野が帰った後、「お前もイジメコースがええんか?」と幸田に尋ねて、「僕はレギュラーでお願いします。」と返して来た。

「ガソリンスタンドか、ここは。」


 ―完―


メーターボルテージを少しずつ上げて行き、患者が「痛い!」と言った地点より少し下げてからタイマーをセットする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ