40.今年の汚れ、今年の内に。
「あのオトコ、好かんな。」「どのオトコ?」
「6チャン。昔、球磨弘さんがやってた番組のアナウンサー。」
「今は違う番組やけど、まあ、そうかな。最初やってた布留盾さんの時は評判良かったけどなあ。偉いさんが、中華まんに変わったんや。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。
=====================================
私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「鴻巣さん、終ったで。」
私は、鴻巣の吸盤を外していった。
鴻巣は、元アナウンサーの女性だ。「電波オークション」の前の話だ。
東京にいる頃、すっかりはまってしまい、吸盤治療もやっている所を探して、ウチに来た。
今は、大阪でフリーのアナウンサーをしている。
「あのオトコ、好かんな。」「どのオトコ?」
「6チャン。昔、球磨弘さんがやってた番組のアナウンサー。」
「今は違う番組やけど、まあ、そうかな。最初やってた布留盾さんの時は評判良かったけどなあ。偉いさんが、中華まんに変わったんや。」
「私は、ピザまんより、あんまんやな。」
「大声さんはなあ。大声やから採用されたんやで。」
「ホンマ?」「大声コンテストで優勝して2ちゃんに入ったんや。2ちゃんに入ったらな、アホでもチョンでもハクがつくねん。詰まり、基本給がちゃうわな。」
「ひょっとしたら、口いがめて悪口言うたらボーナス増えるん?」
「棒もナスも増えるでー。まあ、あの人に限らず流行りやな。」
「電波オークションしたのに、何でこうなるん?」
「中華まん、雇うからやな。折角局も減らしたのに。市橋さんな、今年中に『大掃除』するらしい。」
「今年の汚れ、今年の内に、ってか。」
「そう。今年の汚れ、今年の内に。」
「大変やなあ。でも、あの人はやるな。前が盆暗やったからなあ。」
「前が盆暗やったからなあ。」
「はい。タコ女。一丁上がり。」
「ヒーター入れてくれてたから、ゆでだこになったわ。亭主が喜ぶから、今夜サービスしたろ。」
精算済ませて帰った鴻巣は、意気揚々としていた。
「私の患者は、ここで『疲れ』と『穢れ』を落して行くんや。あ、上手いこと言うたな。メモしとこ。今年の汚れ、今年の内に。」
―完―
「今年の汚れ、今年の内に、ってか。」
「そう。今年の汚れ、今年の内に。」
「大変やなあ。でも、あの人はやるな。前が盆暗やったからなあ。」
「前が盆暗やったからなあ。」




