34.胸
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
板東啓吾・・・辻鍼灸治療院の常連。
早乙女優・・・辻鍼灸治療院の常連。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
最近、お馴染みさんになった、早乙女。
先日の板東の話を持ち出すから、2人で笑い転げた。
昔は、鍼灸院でなく、接骨院や骨接ぎという商売だった。
看板に『乳揉み』という単語があった為、よく誤解されたようだ。
施術師が大抵男性だから、尚更だ。
昭和の女性は大変だったのだ。
産院も少なく、助産婦が活躍していた。
今は助産師と名前を変え、技術も進歩したようだが、あまり恵まれた職業ではない。
『乳揉み』は、エロいことするのではなく、産後の女性の『搾乳』や、胸の具合の調整を行っていた、と聞いている。詰まりは、準医療行為だ。
胸の大きい女性は(私もだが)、男性に好まれるのも事実だが、苦労も多い。
まずは、早く走れない。運動会はいつもビリだった。揺れることも原因するが『擦れる』のだ。
最近は、ぴったりフィットするブラもあるが、高くつく。それで、早乙女も、サイズに不具合あっても無理して着ている。ワイヤーブラは、ぴったりフィットするが、だんだんきつくなる。
丁度、コンタクトレンズが長時間使用すると、体への負担が大きくなるのに似ている。
早乙女は近眼で、その面でも苦労している。
乳を揉んでやると、「もっと、もっとー。もっと揉んでー。」とわざと黄色い声を出す。
まるで、セックスしている時のように。
勿論、女同士の『じゃれ合い』だ。実は、『凝り』を指圧しているのだが。
以前は、その特技?を生かして風俗嬢をしていたこともあるが、やはり『投資』が半端ではない。
今は、ネット販売の会社を立ち上げている。ランジェリーを売っている。
自分の会社の製品なのに、ボロカス言う。
「詐欺やな。」と私が言うと、「〇〇―ン!!」と声優の物真似をする。
こいつが踏みつけて来た男は何人いるのかな?
そう言いながら、私は早乙女の会社のブラを着けている。
まあ、もちつもたれつ、だ。
―完―




