23.時代
「あのー。幸田さんの紹介で。」と入って来たのは池井あつし。
浮気調査で顧客になった、南部興信所の顧客だ。
浮気調査は、大抵男がオンナを作り・・・だが、池井の場合は逆。
どうも様子がおかしいので、調査を依頼した。
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
十津川院長・・・十津川整形外科院長。
幸田仙太郎・・・南部興信所所員。辻先輩には頭が上がらない。
池井あつし・・・幸田の顧客。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日は、「いちげんさん」の話。
「あのー。幸田さんの紹介で。」と入って来たのは池井あつし。
浮気調査で顧客になった、南部興信所の顧客だ。
浮気調査は、大抵男がオンナを作り・・・だが、池井の場合は逆。
どうも様子がおかしいので、調査を依頼した。
蓋を開けたら、池井の友人と女房が出来ていた。
池井の友人は『男やもめ』。池井の女房は離婚した後、池井の友人と再婚した。
妊娠していなかったら、ややこしい事にはならなかった。
「ああ。聞いてます。結婚式、呼ばれたんですって?行ったの?」
「まさか。どちらとも縁切り。」
服を脱いだ池井に私は針を打っていく。
ぎっくり腰だと、幸田から聞いている。
「そらそうやわなあ。」
「荷物も宅配便で送りました。幸田さんに相談して良かった。優秀な弁護士さん、紹介して貰ったし。」
「池井さんは、どうするの?これから。」
「友人に、宅配便ドライバーやってるのがいて、下請けを募集しているって言うから、今度面接に行って来ます。」
「下請け?」「パートタイムですね、要するに。1日のノルマとかじゃない。」
「ふうん。まあ、遊んでるよりマシやわな。ぎっくり腰やし。是非定期的に通って下さい。」
「はい。そうします。」
治療を終え、精算する時、幸田が現れた。
「ああ、幸田さん。お陰で楽になりました。ありがとうございました。」
池井が帰った後、幸田に尋ねてみた。
「女房が浮気って?」「ええ。この頃、そういうパターン多いんですわ。男の場合、往生際悪くて言い訳しようとするんやけど、女の場合、何が悪いん?って開き直る。時代ですわ。」
「時代かあ。この間な。変な電話かかってきたと思ったら、選挙の電話。しかも録音。気色悪っ!!」
「時代ですわな。」
―完―
「ああ。聞いてます。結婚式、呼ばれたんですって?行ったの?」
「まさか。どちらとも縁切り。」
服を脱いだ池井に私は針を打っていく。
ぎっくり腰だと、幸田から聞いている。
「そらそうやわなあ。」




