22.社交辞令2
「柳さん。『万博』オトコどない?その後。」と尋ねたのは、私の方だった。
「もう『かち合い』ませんから。コンピュータでちゃんとチェックしてますから、先生も看護師も。」
「そうか。そら良かったな。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
十津川院長・・・十津川整形外科院長。
幸田仙太郎・・・南部興信所所員。辻先輩には頭が上がらない。
柳金吾・・・辻鍼灸治療院の常連。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「柳さん。『万博』オトコどない?その後。」と尋ねたのは、私の方だった。
「もう『かち合い』ませんから。コンピュータでちゃんとチェックしてますから、先生も看護師も。」
「そうか。そら良かったな。」
「ねえ、先生。昼寝は15分、って誰が決めたんです?会社勤めしてた頃は私も昼休みで机にうつ伏せして仮眠出来るのは15分位でしか無かったけど。」
柳は、おっとりとして見えるが、結構苦労人だ。
何より、私を尊敬しているとことが、「常人」ではない。
私は、柳の背中に『置き針』している間に、スマホで調べた。
『置き針』とは、10分から15分針を患者の『ツボ』に刺して放置することである。
長いと効果が出ないから、時間はキッチンタイマーで『きっちり』計る。
柳は『きっちりタイマー』と呼ぶ。
「ふうん。読むで。『昼寝は15分程度が効果的です。この短い時間での昼寝は、午後の眠気防止や集中力向上に役立ちます。長く寝すぎると、目覚めが悪くなったり、夜の睡眠に影響が出たりする可能性があるため、15分程度の短い昼寝が推奨されます。』・・・やて。」
時間が来たから、柳を引っくり返して『表面』の『置き針』を行う。
「やっぱり、健康体で若い人の『黄金律』ですね。いやね、十津川先生とこの待合で、『喧嘩』やないけど、昼寝1時間って言うお婆ちゃんに、寝過ぎやろ、って寄ってたかって言うもんやから、『そうかなあ』って、思わず呟いたら、その人達に睨まれましてん。いや、時間気にせん生活してる人には『15分』って、足枷要らんやろ?って思ったから。」
「正解や、ご褒美にオッパイ吸うか?」「え?」「冗談ですぅ。」
表裏出来上がった柳は料金払って出ていった。
待合にいた幸田が、下を向いた。分かり易い。
『オッパイ』に反応したんやろう。元気あるなら、ワコと浮気して、子供作ればいいのに。
澄子には無理やで。
―完―
『昼寝は15分程度が効果的です。この短い時間での昼寝は、午後の眠気防止や集中力向上に役立ちます。長く寝すぎると、目覚めが悪くなったり、夜の睡眠に影響が出たりする可能性があるため、15分程度の短い昼寝が推奨されます。』




