19.坊主憎けりゃいつまで憎い
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「鴻巣さん、終ったで。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
鴻巣恭子・・・辻鍼灸治療院の常連。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日も、「お馴染みさん」の話。
「鴻巣さん、終ったで。」
私は、鴻巣の吸盤を外していった。
鴻巣は、元アナウンサーの女性だ。「電波オークション」の前の話だ。
東京にいる頃、すっかりはまってしまい、吸盤治療もやっている所を探して、ウチに来た。
今は、大阪でフリーのアナウンサーをしている。
鴻巣がいたテレビ局では、「上納システム」なるものがあったそうだ。
鴻巣は美人で肉付きもいい。所謂「男好きのする」容貌だ。
だが、吸盤治療好きが幸いした。
いざという時、服を脱ぐ時に、わざわざ腕まくりをする。
それを見て「ご相伴に・・・。」と思う男はいない。
無言で去るか、無理矢理用事を作って出て行く。
そして、鴻巣はクスクスと笑い出す。
「誰も、蛸、抱きたくはないよね。」「旦那は、どうなん?蛸でもええんか?」
「3日もすれば、吸盤の後、引くでしょ?セックスは、それまでお預け。で、プロポーズしてきた時、『蛸』やったから、会社の会議室に入って鍵かけて、全裸になって、『覚悟出来るか?』って言うたら、一生ついて行きますぅ。」って、言われた。流石に、あの局みたいに仕事中に『交渉事』出来へんから、ホテルで朝まで可愛がってあげたわ。先生、ややこ、出来たら名付け親になってな。」
「太亜子、とか?」「それは止めて。あ。今夜、蛸酢にしよ。流石、関西の穴運差あ、って言うの、止めてな。」
「自分から言うか。旦那は案外、知ってたかもな。『吸盤』の事。でも、ええ旦那や。性別分かったら報告して。真剣に考えたるさかいに。そいえば、まだ言うてるな、一部のマスコミ。兵庫県の知事の件もやけど、『第三者委員会』ちゃうやん、身内で集めてからに。いつまでやってんねん。」
「そもそも、それで刑務所送り、出来へんのに。自称ジャーナリストは、こ〇き記者。コロニー以降、自分の足使わんから。あいつらこそ、空かん『タコ』!!」
「上手い。100円負けとくわ。」
「そう言いながら、いつも料金やろ?」
「よう分かったな。」
「やってられんわ!」
―完―
「上手い。100円負けとくわ。」
「そう言いながら、いつも料金やろ?」
「よう分かったな。」
「やってられんわ!」




