17.これも、社交辞令。
「大変な事件が続いているんやなあ。シーアイエーの人ていうのは分かったけど、何で、運転免許証2つ持ってたんやろ?素人たから、見当つかんな。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。
幸田仙太郎・・・南部興信所所員。辻先輩には頭が上がらない。
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私の名前は辻友紀乃。
辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。
旦那は「腹上死」した。嘘。
本当は、がんだった。
膵臓がん、って奴だ。
私は、鍼灸師で柔道整復師だ。
お馴染みさんは、これでも多い方だ。
今日は、後輩の幸田の話。一番の「おなじみさん」。と言っても・・・。
私は、幸田の話を、針を打ちながら聞いていた。
「大変な事件が続いているんやなあ。シーアイエーの人ていうのは分かったけど、何で、運転免許証2つ持ってたんやろ?素人たから、見当つかんな。」
「そらあ、俺らかて同じですよ。警察が調べるのを待つしかないですわ。」
「今日の仕事も、その続きか?」
「いえいえ。いつもの仕事。浮気現場押えられても、『ちゃうねん、ちゃうねん!!』ちゃうねん教か!!って奴。」
「そんな宗教あったら、おもろいな。ところで、ワコとは、どうなっってん?こましたか?倒したか?」
「先輩、下品ですよ。後輩に浮気勧める先輩なんていないですよ。」
「珍しいか?」「希有です、希有。ワコは妹みたいなもんやさかい。ポーズですよ、ポーズ。誰か他に好きな人いて、俺はカモフラージュです。」「社交辞令か。」
「そうか?名付け親になったろ思うてるのに。」「不要です。」
「けど、澄子は、子供産めるんか?」「まあ、難しいでしょうね。」「希有やろ、希有。」
幸田は、針を抜き終えると、さっさと服を着て、財布を出した。
「もう帰るんか。」「もう帰るんか・・・って、どんな台詞・・・。」
幸田が言いかけると、幸田のスマホが鳴った。
「え?無理心中?」
幸田の後輩の調査員の倉持の声だ。
私は、出しかけた財布から札を抜き出し、幸田に返した。
「出番やな、幸田探偵。日本の治安は、君たちにかかっている。ガンバレ!!」
幸田は、何か言いかけて、出て行った。
私は、菓子箱から、かりんとうを出して頬張った。
「旨い。希有やな、希有。」
―完―
私は、菓子箱から、かりんとうを出して頬張った。
「旨い。希有やな、希有。」




