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14.説教

星山は、大阪公立大学の大学生。

新学期が始まる前に、事件は起きた。


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 辻友紀乃・・・鍼灸師。柔道整復師。高校の茶道部後輩、幸田仙太郎を時々呼び出して『可愛がって』いる。

 星山タクト・・・辻鍼灸治療院の常連。

 =====================================


 私の名前は辻友紀乃。

 辻は、所謂通り名。そして、旧姓。戸籍上は「大下」。

 旦那は「腹上死」した。嘘。

 本当は、がんだった。

 膵臓がん、って奴だ。

 私は、鍼灸師で柔道整復師だ。

 お馴染みさんは、これでも多い方だ。

 今日は、「いちげんさん」の話。と言っても・・・。


 星山は、大阪公立大学の大学生。

 新学期が始まる前に、事件は起きた。

 星山は、中学の時の同学年だった、津川勝と再会し、同じ大学に通う事で、意気投合した。

 星山は、津川と酒を飲み交わす内に、口論になった。

「難解トラフグ地震」についてである。

 石川県能登半島、宮崎県で地震が起こった為、気象庁は「難解トラフグ地震情報」という、「予報」でも「注意報」でもない「お知らせ」を発表し、マスコミは、盛んに報道した。

 星山は、「難解トラフグ地震」に関する書物を読み、直ちに誤報だと気づいた。

 SNSでも、盛んに言われたが、マスコミは取り合わず「誤報」を流し続けた。

 星山は、政府のホームページに「地震学者達が出した30%という確率を、当時の政府担当者が30%だと国民が油断するから、と70%だと情報を捻じ曲げて報告をした。

 書物は、取材の元に書いてあるのだから、と義憤を覚えたのだ。

 だが、津川は「おちょくり癖」のある人間だった。「やり過ぎやろ。メッセージは取り消すべきや。」

 当人が真面目であればあるほど、揶揄して、説教した相手を「へこましてやりたい」欲望がムラムラと湧き上がり、津川は口論の末、星山を突き飛ばした。

 津川は、骨折をした。幸か不幸か十津川外科は隣だ。

 母親は、救急車を呼ばず、十津川先生を頼った。

 複雑骨折だった。救急処置をした後、紹介状を書いて、十津川先生は、大きな病院に入院させた。

 母親は、教師だった。そして、私とも旧知だった。

 母親は、全面的に息子が正しい筈だと主張し、私を通じて(幸田を通じて)本庄先生に相談、警察に被害届を出し、本庄先生の紹介で裁判に持ち込むことになった。

 私は、星山に言った。

「あの本、私も読んだよ。星山君が正しい。私の後輩の知り合いの知り合いが、総理と親しいから、あの「手紙」読んで、気象庁の姿勢を正す、と言っている。今朝のニュースでナア、星山君の名前は伏せて、記者会見で『まだ精度が高くない地震情報』で国民の皆様の不安を煽ったことを陳謝します、って頭下げはったわ。君の勇気は無駄やなかったで。退院して、リハビリしても調子悪かったら、いつでもウチに来て。まだまだこれからの人生や。頑張ろう。」

 親子は、涙を流して頭を下げた。

 病室を出ると、幸田と本庄先生が待っていた。

「辻さんは、心のケアでもプロね。」本庄先生は言った。

「自慢の先輩ですねん。」と、言う幸田に、どつく真似をしたら、ヒョイと交わした。

「星山君が言うように、30年の間に、やるべきことをやるのが、政府の仕事や。早う腐ったリンゴを掃除して貰わんとな、総理には。」

 私の言葉に、幸田も本庄先生も頷いた。

 ―完―



「辻さんは、心のケアでもプロね。」本庄先生は言った。

「自慢の先輩ですねん。」と、言う幸田に、どつく真似をしたら、ヒョイと交わした。


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