表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

第5話 リララ!


「......」


 牢屋、牢屋と言っても都市部のようなしっかりしたものではない。

 木を格子状にして簡易的なもので実力のある奴なら破壊可能な程度のもの。


「と言っても、この鎖はしっかりした奴だな」


 天井に両手で吊るすようにされて身動きが取れない、魔法も封じられている。


「痛......これが守ってくれた人に対する仕打ちかよ」


 頭が痛い、そういえばリララから闇の魔法を教わった事がバレた時もここに吊るされた。


 あの時、俺に鞭を入れて焼き鏝を入れた奴、どうしているんだろうか、俺を育てたクズも折角だから見て......いや見たくない。


「っとにかく、早く出てリララに!」


 もがくが出れない。


 その内、誰かが入ってくる足音が聞こえた。


「誰だ!」


 叫ぶ――


「静かにッ」

「――」


 ピンクの長い髪と水色の瞳、紫色のローブを着た少女がいた。


「あ――リ......ララ......」


 あの頃と何も変わっていない、背丈もその顔も――

 そうだ10年間、どんなに苦しくともこの時を――


「いま開けるから待ってて」


 木製の檻を素手で破壊する。


「その鎖は......これで」


 闇の魔法を鎖に撃つと突然、鎖はバラバラになって砕け散った。


「久しぶりねゾル君、元気に――」

「リララーーーッ!会いたかったーーーッ!」

「ちょっ――」


 背丈もあの頃と変わらず少女のままでいつの間にか身長を追い抜いていた、変わっていたのは俺だけ。


「10年間探し回っていたんだよッ!?もう会えないのかと思ってたんだよッ!?」

「......ごめんなさい、事情があって......だからそんなに泣かないで、あぁこれじゃあ子供のまま」


 何も考えられない。


 ■


「とにかく、ここから出ましょう」


 リララの後について村を出ていく。


「.....事情というのは?」


 リララが言っていた事情、この10年間彼女が何をしていたのか。

 リララと共に遊んだ思い出の場所まで移動しながら話す。


「えぇそれも全部教える、やっと話せると言った方が良いかも」

「?」

「そう――しっかり聞いてね」


 リララはその水色の瞳で見つめて――


「私ね、ゼーラ王国を滅ぼす事にしたの」

「え?」

「そして魔王になるの、その時は貴方は私の――えぇこれはまだね!」


 言っている意味がわからなかった。


「10年前はまだ決意が出来ていなかったけどもう決意を決めたの」


 何だか壮大な事を話すリララ。


「それは――」


 いつの間にか思い出の広場まで到着していた。


「ど、どうやって逃げ出したんだッ」


 村人の一人がこっちへ走ってくる。


「っまずい――」

「――」


 それを言い切る前にリララは片手で闇の魔法を放つ。


「ぎ、ぎゃああああ!?」


 ブチブチッバキッ


 血しぶきが舞う。


「......連続殺人の犯人はリララか」


 むごい殺人現場というのは闇の魔法の所為だったのか。


「さぁ手を取って――」


 あの時と変わらない笑顔――

 血で薄汚れた顔を拭きもしないで俺に手を伸ばしてきた――


「――」


 もし神がいるなら、ここで彼女の手を払うべきなのだ、ここで闇の魔法を撃ちこめばいい。


「――さぁゾル君?」


 もし俺がそうしても、リララはきっと――


「――ッ......」


 だけど――


「――嬉しいわ!」


 許して、父さん母さん、弱い俺を許してよ。


 彼女だけなんだ、俺に優しさをくれたのは、あの優しさがあったからこの10年生きてこられたんだ。それがないなら生きていけないんだ!

 そんな世界こそが地獄なんだ!

 だから――

 地獄に彼女と一緒に落ちるよ――


 さようなら父さん母さん――

自分も迷いました、ただ主人公の闇落ち、悪落ちを書いてみたかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ