第一章 3 : これが最後の写真
時計は7時を指した.
「そろそろ,守龍の準備でもするかー」
みぃちゃんが作ってくれたクッキーを1人で食べている俺を見ながら剣斗が言った.
確か,入学式は11時からだったはずだ.
「ちょっと早くなーい?」
俺と同じことを思ったのか,星夜が言う.
「いや,守龍が準備できたら,みんなで神社行きてーなーって.未来んちの神社!」
俺の新しい制服を出しながら,剣斗が言う.
みぃちゃんの家は,ここら辺では結構なの知られてる神社だ.
俺たちの住んでいる,『木森村』.
ここを作ったと言われている木森様を祀っている.
「あー,神社行くならたしかに早く準備した方がいいねー」
みぃちゃんは,俺の方についたかけらをとりながらそう言った.
みぃちゃんがそう言うので,俺は新しい制服に素早く着替え,外出の準備をする.
そして4人で家の前に出た.
「ここで一枚,写真とろーぜー!!」
星夜がそう言うので,俺たちは4人並んで写真を撮った.
4人で写真を撮るのなんか,何年ぶりだろうか.
そのまま,俺たちは4人並んで神社を目指して歩く.
たわいもない,話をする.
本当にたわいもない話.
俺たちはただの道を歩いていた.
はずだった.
俺たちの足元に大きな黒い影があることに俺は気づいた.
「なんだこれ」
俺がそう言った.
「どうしたの? しゅうちゃん」
俺の言葉にみぃちゃんの視線も下を向く.
他の2人の視線も足元に向いた.
その瞬間だった.
その影が,まるで液体のようになり,俺たちを包み込んだ.
俺たちの意識は,暗い暗い影の中に落ちていった..
とりあえず,ここで地球という星の日本という国での話は一旦終わりです.