35 子爵と侯爵からの召還
あれから2日。いよいよシーサーペントの査定が終わった事だろう。
「良くきたな。街に来て早々にあの様な事をさせてしまった事、感謝する。」
「いえ、冒険者として当然の事です。」
「そうか、そう言って貰うと有難い。」
「では、早速だか査定に入ろう。」
「分かりました。」
「まずは眼球だが、これはお主の魔法で傷付いてたため2つで金貨5枚だ。次に牙は大金貨2枚、皮は傷が殆ど無いため、大金貨10枚、血は大金貨15枚、内臓が大金貨8枚だ。それに緊急依頼と言うことで大金貨5枚。合わせて大金貨40枚と金貨5枚だ。確かめてくれ。」
大金貨40枚と金貨5枚を確かめて袋に入れる。
不味いな4億以上だぞ。
お金も貯まるのは良いが貯まりすぎるのも良くない。血と同じく金も循環しないと歪みがでる。
後で皆と相談するか。
何か良い案でも出れば良いのだが。
「どうした?考え込んで。不服か?」
「まさか。逆に貰いすぎなのでは?」
「ギルドの心配か。心配するな。既に薬学ギルドからは血と内臓が。鍛冶ギルドからは牙と皮の買い入れの申し込みが来ている。」
「そうですか、それなら良かったです。」
「あれだけ大きく状態の良いシーサーペントだからな。冒険者ギルドも金がかかる。今回の件で少し儲けさせて貰おう。」
あれだけの金額を回収出来るのか。
凄いな冒険者ギルドは。
これ以上ここにいても、仕方ないだろう。
ギルドマスターも忙しいだろうから。
「では、これで失礼します。」
「うむ。今回の事感謝する。」
ギルドマスターの部屋を出て皆のところへ向かう。
すると何やら騒がしい。
またナンパでもされたかな?と思いながら近づく。
どうやら違ったようだ。
剣呑な雰囲気が漂っている。
「だからアカリとやらを引き渡せ。」
「雷神のパーティーに一体どんな用事があるってんだよ。」
「お前らには関係の無いことだ。邪魔をするな。」
「何があったんですか?」
「おお雷神だ。」
「なんかこいつらが雷神のパーティーメンバーを無理やり連れていこうとしてな。」
「俺たちが間に入ったんだ。」
「それはお手数をおかけしました。」
「なに、あんたは街の恩人だ。」
「これくらいなんて事ないさ。」
「それであなたはどこの誰なんですか?」
「スケベーノ子爵のものだ。」
「お前にも付いてきて貰う。」
「なぜ付いていかなければならないのですか?」
「お前にはオウル様にたいして傷害を与えた罪がある。」
「本当ですかね?先にあちらが手を出してきたので反撃しただけですが。」
「やっぱりそうか。スケベーノの次男はどうしようも無いらしいからな。」
「貴様、我が主になんて事を!」
「モーブよ、何を手間取っている。俺の気は短いんだぞ。」
「それがこいつらに邪魔をされまして。」
間に入ってくれたパーティーを指差す
「俺はスケベーノ子爵のオウルだぞ。」
「それが何か?」
「あっお前、俺に傷害を与えただろ。その罪に対してアカリを渡せ。後はそうだな、大金貨10枚で許してやってもよいぞ。」
「何を言っているのか分かりませんね。私がなぜあなたにアカリとお金を渡さなければならないのですか。」
「どうした。何があったのだ?」
「ギルマス。こいつらが雷神に対していちゃもんを付けて来てるんですよ。」
「こいつが俺様に傷害を与えたのだ。それをアカリと大金貨10で許してやると言っているのだ。」
「どれ、調べてやろう。雷神よギルドカードをみせろ。審判の機械にかけてやろう。」
「お願いします、ギルドマスター。」
「ふむ。功はあれど罪はないな。」
「そんな馬鹿な話があるか!壊れているのではないか。」
「成る程、それでは貴方のギルドカードを貸して下さい。」
「なぜ俺様のカードを見せる必要がある!ここのギルドはそいつと親しいみたいだからな。嘘をついているのだろう。」
「審判の機械が壊れているか、私が嘘をついていると?」
「そうだ。現に私はそいつに傷害を受けた。」
「ですから貴方のギルドカードを見せて下さい。」
「そいつの肩を持つようなギルドに見せるわけにはいかん!」
「それでは判断する事が出来ません。」
「ぐぬぬ。俺様に逆らった事忘れはせんぞ。」
「お前のギルドカードにこそ罪があるんじゃないか?」
「大体雷神が本気を出したらお前なんか塵も残らないぞ。」
「なんだこいつらは。不敬だぞ。」
「何が不敬だ。ここは冒険者ギルドだぞ。権力で魔物が倒せるなら倒して見せろよ。」
「それよりお前のギルドカードを見せてみろよ。」
「お前が先に手を出したんだろ?雷神が優しくてよかったな。」
「ぐぬぬ。ええいお前ら力ずくても良い。アカリを連れてこい。」
「オウル様。それでは私たちに罪が付いてしまいます。」
「そんなのは後でどうとでもなる。首になりたいのか。」
「仕方ない、行くぞ。」
「そんな話を聞いて、俺たち冒険者が黙って見過ごすと思うか。」
「「「「「そうだ。そうだ。」」」」」
「オウル様、流石にこの人数は。」
「ええい情けない奴らめ。」
「仕方ない、ここは一旦退くぞ。」
「お待ちください。オウル・スケベーノ様。」
「なんだ貴様は。」
「私はタベリール家に支えるセバスチャンと言います。何やら揉めていたようで。ここは1つタベリール家が間を取り持つと言うのはどうでしょう?」
周りの冒険者に聞いてみる
タベリール家当主は清廉潔白で貴族びいきをしない立派な人みたいだ。
スケベーノ家も当主と長男はまともな人らしい。
妾が産んだ次男は甘やかされすぎる程甘やかされて育ったようだ。
それならタベリール様に間を取り持って貰うのも良いかもしれない。
今後も付き纏われたら面倒だからな。
「私はそれで構いません。」
「俺はちょっと用事が。」
「どんな用事ですか?家の者が先触れを出しますが。」
「ムムム、俺も構わない。」
「では、タベリール家に向かいましょう。」
こうしてタベリール家に向かう。
オウルも仕方なく着いてくる。
タベリール様が噂通りの人なら良いのだけど。
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