初戦場
ステータスの文字化けによって、職業の見えない俺は、この世界では、無職と呼ばれ、忌み嫌われるらしい。まぁ、面倒事に巻き込まれないだけマシではあるが、ルーミアと離れる事になったのはいただけない。しかし、ルーミアがAとはな。
さっき聞いたが、この世界の戦闘は、『マギアギア』と呼ばれる人型兵器が主流らしい。マギアギアとは、魔導科学の結晶らしく、古くから存在する兵器らしい、『思考』と『入力』によって操作するようだ、入力とは、アニメと同じような、つまり、アニメで見るガ○ダムの操縦のようなものらしい。また、思考による微調整も自動でしてくれるようだ。そして、マギアギアは、人間の体の拡張のような性質があるらしく、自身の持つスキルも使えるようだ。また、武器は一般的には、銃らしいがスキル持ちは、スキルにあった武器を持つらしい。しかし、マギアギアには、欠点があり、それが、持ち主の魔力や適正によって動かなくなるものがある点だ。普通の量産型機なら、魔力無しでも訓練すれば使えるらしいが、高性能な機体となると、魔力や適正に左右されるらしい。
ちなみに俺はFに配属された。Fランクは、基礎訓練かららしい。
一カ月後、俺たちは戦線に出てきていた。戦線と言っても安全な地域らしく、護衛もついていた。しかし、Fランクには、2人しか護衛がつかなかった。50人近い護衛の半分ほどはAランクの護衛らしい。
「はぁ、Aランクの奴らは高級ホテルみたいなテントらしいぜ。それに比べて俺らは…」
そんなことをぼやいたのは、俺と同じFランクの倉敷 徹だ。徹は、剣士系のスキルを持っている前衛だ。
「そんなことぼやいても変わらないよ」
そんな、弱気なことを言ったのは、探知系のスキルを持っている栗田 利樹だ。こいつらは、Fランクの中で仲良くなった奴らだ。Fランクには、俺たちを含めた10人近くがいる。しかし、プライドの高い奴もいるようで、民間人に喧嘩をふっかける奴もいる。Fランクとは言えどスキル持ちは、珍しいらしく、民間人よりは強い。まぁ、町の憲兵に止められるんだがな。この国を見た限りでは、大きい街は、現代の街並みにそっくりだが、街から出たり、小さな町では中世の街並みになる。
「小隊各員、搭乗。」
野営地のスピーカーから号令がかかる。
「号令がかかったな。」
「うへぇ、やりたくねぇー」
「仕方ないよ、戦うために召喚されたんだから。」
「そうだけどさぁー」
文句を言ってら奴もいるが、命令違反は軍法会議ものなので、さっさと乗り込んでいく。
「マギアギア、出力安定、計器類正常、モニター起動。」
機体の最終確認が無線越しに聞こえてくる。そして、全員の最終確認が終わったのを確認して、小隊長が
「全機起動」
そう言うのと同時に、各々の機体を起動した。
俺たちの乗っている機体は、アルシア帝国軍の主力機の前期型である、ドクルス社製:『ダインスレイブII・二式』だ。ちなみに、ダインスレイブIIの前の機体ダインスレイブでは『〜式』と入れる場合は、『〜式ダインスレイブ』と、なっていたらしい。
「総員訓練通り、3人1組になって行動しろ。」
組みは倉敷と栗田だ。
「ふう、少しは動きやすくなったぜ。」
倉敷は剣を持ちながらそう言うが、ここは戦場である。
「油断すんなよ、助けれんぞ。」
そんな話をしながら警戒していたが、スキルを使っていた栗田から報告が来た。
「北西の方角から三機敵機接近中だよ。」
「俺が狙撃で先制するから、2人はその後に追撃してくれ。」
「「了解」」
700…650…500…よし、1番重武装のやつのコックピットを狙って…撃つ。
「命中、エネミーダウン。」
「よし、こっちもやれたぞ〜。しっかし、隠蔽系のスキルが存在しないから布なんかでカモフラージュしないとなのは面倒だな。」
「ウッ、こっちもやれたよ。」
全部やれたが、それでも、栗田のやつは辛そうだ
「大丈夫か?」
「大丈夫だけど、結構キツイね。」
「大丈夫ならいいが、無理はするなよ。」
「分かってるよ。」
そんな会話をしていると、本隊から無線が来た。
「本隊は、敵主力の攻撃を受けている。至急応援に」
そこで、無線は切れた。
「ちっ、どうするよ。俺らの能力じゃ、むずいぜ」
「俺は行く」
ルーミアに何かあってからじゃ遅い
「やめときなよ冬夜。僕たちの装備は時代遅れなんだよ?」
「そんなことは百も承知だ。最悪、奇襲でどうにかする。」
「どうにかなることじゃ…」
その瞬間、爆音が響いた。敵の狙撃により栗田機が吹き飛ばされた。
「なっ」
唖然として、動けずにいるとまた爆音が響いた。今度は倉敷の機体からだった。
「ちっ」
状況を理解した俺は、今まで使っていなかった、スキルをフルで使って応戦した。〈心眼〉〈空間把握〉〈絶対記憶〉を使用し、敵の位置を把握、〈破壊〉を弾に付与し、敵機に向かって発砲。一発目で命中し、敵機は消し飛んだ。
「ふう、やっと静かになったか、仇は取っといたぞ。」
そう言い残し、俺は本隊の方向へ向かった。