第2話
一話を大分変えてしまったんで、もう読んでくれた方は申し訳ないですが、一話から読んでいただけるとよいかと思います。
最悪だ最悪だ最悪だ……最悪だぁ!!
……あ、フラグって声に出さなくても成立するんだ……じゃなくて、まじで最悪だ。――いやまあ、いいこともあるにはあるんだけど。
机と一緒に寝たふりをしながら、今さっき起こった会話をもう一度思い出してみる。
♢
教室の扉を開いた途端、まず目に入ったのは大きな紺色の瞳。しかも特大の。
少しでも僕が前に進んだらキスしてしまうのではないか。というような距離。当然(?)僕は扉をいったん閉じ、反対側の扉まで一瞬で移動した。そりゃもう、本当の意味で。――ちゃんと周りは確認したよ?扉の前にいた人にはチョットどいてもらったけど。
「……お、おい!大丈夫か!?しっかりしろ!」
「…うっ……あ、ああ。ありがとう。どうやら盛大にズッコケて2組の教室から5組の教室の前まで吹っ飛んだらしい。心配、ありがとう」
ほらね!どいてもらっただけだったろ?しかも、入学式翌日で、話しかけるかどうかみんなが渋る時期に、友達を作る機会を与えた。これはもう頼一くん。一仕事終えた感じですわ。
そして、改めてもう一度、扉を開けてみる。
さあ、開け、俺の青春のとびらよ!(謎)
「……」
「……」
はぁ。案の定、というべきか。やはりそこには紺色の瞳をした美少女がとんでもない距離で立っていた。
この美少女、僕がわざわざ一瞬で移動したというのに、その苦労を台無しにしてくれるんだ。
苦労つってもホントに微生物ぐらいの大きさの苦労だけどね(再び謎)
「………あのさ、どいてくんない?」
「ん、らいちが「おはよ」してくれたら考えてあげ――」
「――おはよ、紗良」
「……おはよ、らいちん♡」
「おう」
彼女は山本紗良。強く青みのかかった黒髪をストレートにおろしていて、紺色の眼をしている。
僕の最初にできた不良仲間であり、【銅鑼絵紋】の最高幹部、〖七色の秘密道具〗、青色のサラ。彼女は僕が落ち込んでいるとき、本当にお世話になった人の一人だ。
彼女は今の会話で満足してしまったのか、鼻歌を歌いながら他の〖七色の秘密道具〗たちの所に戻っていった。
彼女の選曲は、ユニコーンの、雪が降る街という、なんとも渋いものなのだが、彼女が歌うと、その選曲も正しいのでは?と、思ってしまうのだから不思議だ。
「へぇ~このクラスは4色か」
見えるやつらが2人とその後ろに1人だな。
「おう、兄貴に頼み込んで、何とかしてもらったぜ!どうだ?すげぇだろ?」
ドヤァ~って感じになってるけど、それは本当はセコイことなのではないだろうか。
今ドヤッてる赤髪に赤眼をした男っぽいワイルドイケメンは君塚真司。【銅鑼絵紋】の最高幹部、〖七色の秘密道具〗、赤色のシンジ。こいつは中学時代から暴れん坊として有名で、一緒に行動する前から名前は知っていた。
「ああ、すごいすご――」
「――うわあぁ!!!……」
「――………」
「チッ、やっぱりこれだけじゃあ、らいちは驚かないよね」
この爽やかイケメンは、若槻結弦。【銅鑼絵紋】の最高幹部、〖七色の秘密道具〗、緑色のユッチー。ちなみにあだ名で呼ばれているのは結弦だけだ。
真司がでかすぎるから見えないと思ったんだろうけど、実は教室に入った時からずっと、その特徴的な濃い抹茶色の髪の毛がずっと見えていた。――だから最初に「このクラスは4色か」って言ったよね。それもわざとらしく。もしかして気付いてない感じかな?
「いや結弦。そもそも――」
「チッチッチ、結弦。そんなんじゃ頼一は驚かねぇ。その理由を今から言ってやるからよ~く聞け」
「チッチッチ」の部分で人差し指を立て、左右に振る姿が妙にイラつくのだが、どうやら真司は気づいていたらしい。――ん?なら何であらかじめ隠しておかないんだ?あ、いや待て、これは俺が言おうとしたことと絶対に一緒ではない!となれば、あいつの性格からして!!
「おい紗良、真司の口を早く―――」
僕が命令を出すよりも早く、真司の口は開いてしまった。
「オイコルァァ!!!てめぇ!許されたかったらキン〇マよこせや……くらいやらねぇとこいつは反応すらしないからな」
……………………やってしまった!まだそんなに人はいないような時間だったからいいものの、少なくともこの教室にいる人たちは完全にビビってるじゃねぇか!中にはいきなりすぎて泡吹いてるやつもいるぞ!完全に悪目立ちではないか!ど、どうしてくれんだよぉー!
「……真司、さすがに無理があるよ。多分キン〇マは自分でもごうとしてもきつすぎてもげないんだ。つい最近、そこら辺のイキッてるやつらに試してみたんだけど、その場で倒れて仲間が連れて行ったよ。いやぁ~優しくやってあげたつもりだったんだけどね」
ハッハッハ、面白い冗談だな。心の中とはいえ、笑ったのは久しぶりだぜ、まったく。
―――冗談、だよな?
「……はぁ、あんたたち、私がいることを忘れていないでしょうね?あん?もし忘れてたらぶっ潰す、じゃなくて、シバくわよ」
え!?そんなご褒美、じゃなかった。
それ言い直した意味ある!?
どちらもJKが使うような言葉じゃないよね??
――でもちょっとシバかれたい気持ちもあるようなないような。
「ああ!?おいコラッ舐めてんのか!やれるもんならやってみろよ!!返り討ちにしてやらぁぁ!!」
なんかこれを放置したら大変なことになりそうだ。
結弦も同じような顔をしてるし、仲裁に入るしかないか。
――そう思った時だった。
「…まあまあ、紗良も煽ること言うなって、それに真司も――」
「――おい!!これ以上はやめろ!彼女を傷つけるだろ!」
ハハッ。ここで登場とかまるで主人公かよ……――っ!?
「君は強い男の子なんだろ!ならその力をもっと有効に……って、頼一か?」
僕は登場したこいつの顔を見て第一思ったことは
(こいつの顔を見る日がまた来るとはな)
っていう感じだった。
果たして、この感想はあいつ――梶海勇樹にとってどうなのだろうか。
「頼一、だろ?」
ん。そうだぞ。何か用か?
僕はもう元親友で、あの頃慕っていた元野球部のキャプテンのお前に用はないぞ。
それかあれか?また僕を野球部に引き込んで一緒に全国目指そうとでも誘ってくる気か?
悪いけど僕にそんな気はないよ。
というか、この不良の世界に飛び込ませたのはお前らなんだし、当たり前といえば当たり前か。
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