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ふたりの昼休み

 

 

 昼休みは、アリスと一緒に過ごすことに成功している。

 

「アリス、また裏庭でいいの? ここ花も何もないけど」

 

 リボンの刺繍は小さい花が多いし、多分庭園とか好きだと思うんだよな。

 

「はい。あまり注目されながら食べるのは嫌ですから。」

 

 確かに、食事中のアリスを不躾に見られるのは問題あるよな。

 

 アリスは俺が嫌じゃないならって気遣ってくれたが、俺はアリスと過ごせるなら何処でも構わない。

 

 庭園が美しい中庭と同様に、裏庭にもテラスがあるが本当に誰も居ない。

 行ったことないが、食堂も広いらしいから皆そこなのかもしれないな。

 

 俺はアリスに合わせて弁当を用意してもらってきた。

 家の料理人が作る味でない、という新鮮さから学食が大人気と聞いたが、俺は家の料理人に飽きたりはしていない。

 

「アリス、持ってきてくれた?」

 

「はい。」

 

 アリスが、スープも持って来たいが冷めてしまうと昨日話していた。

 俺なら解決できると思い、アリスは水筒にスープを持ってきてくれた。

 

 両手で水筒を待ち、魔力を流してゆっくり熱を与える。

 初めてやってみたが大丈夫だな。

 しかし、これ、俺が居ないときアリスに不便をかけてしまうよな。

 毎日一緒に過ごしたくても、俺が仕事で仕方なく学園を休むこともある。

 

 アリスが水筒を開けると、湯気に気付いて嬉しさが溢れていた。

 

「アリス、お弁当も温められると思う」

 

「え!」

 

 魔法をこういう使い方するのは、帝国内でも多分俺だけだろうな。

 普通は魔力量の問題があるから、普段はなるべく魔法を使わずいざという時に備えるものだ。

 

 俺は例外。

 身体に収まりきらない程の魔力量があり、十五になった今でも適度に魔法を使って発散しないと身体に影響がでてしまう。

 王族と四侯は魔力量が多い傾向にあるが、その中でも俺は異例らしいのだから仕方ない。

 

 余っているならアリスのために使いたいな、と思ったことが始まり。

 前にアリスに使った、温かい空気を纏わせる魔法も自分で作ったものだ。

 他の四侯には、「膨大な魔力までアイティヴェルの御令嬢のモノなのか」なんてあきれて言われたけど、俺のモノは全てアリスのモノで構わない。

 

 ここまで話して、アリスにお弁当を返す。

 

 スープは今も湯気がでているし、大丈夫そうだな。

 

「私はどうお礼をすれば良いでしょうか?」

 

「お礼‥‥‥‥ 」

 

 こんなのことで? とも思ったけど、アリスは優しいから一方的に何かされるのは好ましくないのかもしれない。

 でも、これ頻繁にしてあげたいのに毎回お礼されるのもなぁ。

 

「なら、昔みたいにアディって呼んでくれる?」

 

 いつも呼んでもらえるなら、一日一回の魔法なんかよりずっと高価なプレゼントだ。

 

「呼んでも良いのですか?」

 

「俺は呼んでほしいよ。」

 

「分かりました。えっと、アディ?」

 

 少しはにかんで、アリスは優しく俺の名前を呼んでくれた。

 

 ついでに温めてた自分の弁当が一気に湯気をだしてしまい、慌てて手を離したので焦げたり燃えたりはしなかった。

 

 

 

がんばれアディ!

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