観光地図
本日2回目です。
帰りはユアランスの馬車に、アリスをエスコートして乗り込み隣に座る。
俺の夢がひとつ叶った瞬間だ。
「あの、ユアランス様、さっきのお店に行ったことがあったのですか?」
さっきまで居たカフェは、可愛い店内に、甘いデザートがメインのいわゆる女性向けの店だ。
男だけで入るのはそれなりに辛いと思う。
「ないよ。もしかして女性と行ったことあるとか思われてる?」
「い、いえ!」
「アリスが王都に来たらどんな希望にも添えるように、観光用の地図作ってたんだよ。仕入れた情報を元に店が安全なのかも調べてあるけど‥‥ アリスはあの店嫌だった?」
アリスは多分可愛い物が好きだと思う。
今日のピアスも小さい花が使われたデザインで、髪飾りとして使われているリボンも水色に刺繍がある可愛いデザインだ。
だから大振りの派手な物より、可愛い小物の方が好みなのかと思ってあの店を選んだ。
「いえ! 可愛くて温かみがあって、とても気に入りました。」
良かった。
他にも可愛い店を中心に再調査を命じたばかりだったが、それは無駄にならなそうだ。
「その、私のために地図、というのは本当ですか?」
「うん。興味ある物があったら教えてね? 何処でも案内してあげるから。可愛い雑貨屋とか、珍しさで言えば皇宮か? ウィルの部屋でも良いよ。」
「殿下の部屋はダメです。」
「確かに、男の部屋はダメだな。」
いくらウィルでも、男の部屋にアリスを連れて行けるわけなかった。
皇太子の部屋なんて、珍しいだろうから観光に使えるかと失念していた。
そんな話をしているうちにアイティヴェル家の邸についてしまった。
「連れて行きたい場所がたくさんあるから、またデートしてくれる?」
馬車を降りるために添えられた手を取って甲に唇を落とす。
「は、はい」
良かった。
地図は無駄にならなそうだ。
これぞアルって感じの回でした。
こんな主人公ですが応援して下さると嬉しいです。