表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/159

皇太子殿下 ウィリアム ②

 


 

 やってくれたな、ヴィオレット公爵。

 

 アリス嬢への謝罪より先に、ユアランスに「アルグランデ殿に不快な思いをさせた」と謝罪した。

 

 ユアランス侯爵は激怒。

 すぐにアイティヴェルと連携体制を整え、アイティヴェル辺境伯と揃ってかなり怒ってるとみた。

 彼らはアリス嬢が絡むと結託できるらしい。


 

「殿下、おはようござ」

 

「殿下本日の公務ですが」

 

 この学園で身分差を取り払わないのは、気遣いを減らすためでもある。

 後々になってから “不敬だった”、“失礼だった” なんて、言った言われたっていうのは面倒だからね。

 

 よって、皇族である私への挨拶は会釈のみになり、直接声をかけることはない。

 私が許した者は例外だが。

 

 そして聖女は許しを受けていないのに、こうして普通に声をかけてくる。

 昔からの友人、みたいな顔で声をかけてくる。

 そんなわけないです。

 

 今日はエドを連れていないので、執事が聖女の挨拶に被せる形で話しかけてくれた。

 執事は伯爵家の人間で年齢も上であり、皇太子付き執事という役職なのだから、聖女に何か文句をつけられることはない。

 挨拶されたからって気安く返事なんかしたら周りに誤解されてしまうし、なにより本人の勘違いを加速させてしまうそうだ。

 

 ちなみに、いつもこんなことをしているわけではない。

 あくまで自然に、「とても忙しい」とアピールすることがコツだ。

 

 まぁ、聖女は邪魔が入ってむくれているが、正直私は何とも思わない。

 

 そんな聖女に声をかけた人物に私は目を疑った。

 

「おはよう、マリーナ。どうかしたのかい?」

 

 

 は?

 

 

 エトール伯爵令息であり、エドの婚約者アンジェ嬢の兄、アイザック・エトール。

 

「ザック、おはよう。何でもないわ。」

 

 すぐに場を離れようと歩きだしたので今の様子は見えないのですが、会話の内容はまるで恋人だ。

 身分が上のアイザックを愛称で呼ぶなんて。

 

 いや、身分に関わらず、アイザックは妹であっても下の者を見下すような性格だったはず。

 そのアイザックをどうやったら、愛称で呼び合う中にできるわけ?

 

 

 

 すぐに解決できることでもないので、俺はそのまま講義を受けて、空いてる時間は執務室で過ごしていた。

 

 調査を依頼した皇家の “影” から報告があったのは昼休み。

 

 アイザックはひとつ年上で、エトール伯爵家の四男であり、アンジェ嬢のすぐ上の兄。

 ここまでは知ってた。

 

 驚くことに、聖女と出逢ったのは一ヶ月前。

 どうやったら一ヶ月でそんな仲になれるわけ?

 

 アイザックは現在聖女にとても傾倒していて、昼休みにふたりで食事を取ったり、放課後ふたりで過ごす様子が目撃されている。

 

 これは、マズイかな。

 まずアイザックには婚約者が居たはずだ。

 それに、妹に味方することはないどころか、加担してそうだな。

 

 

 

 エド、そろそろ本当にマズイと思うよ?

 

 

読んで下さり有り難うございます!

ウィルのことも

応援してくれたら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ