製作者
「待って。これってもしかしてアリスの手作り?」
「はい。製作は私ひとりで行ったので、何かありましたら私へお願い致します。」
え? 手作り?
俺だってまだ手作りの物もらったことないのに。
ウサギ様の座布団だってまだなのに。
「殿下。試す役は私がします。使いきってしまったら申し訳ありません。」
「こら、独占欲が過ぎるぞ? あ。もしかして、手作りの品をもらったことがないとか?」
「側近である私が確認するのは当然でしょう。」
図星か、とウィルが呟くが断固無視させてもらう。
そしたらなんと、ミハエルが俺の分もあるから落ち着けと言ってきた。
ミハエルには想定済みだったようだ。
ウィルは、ハンカチにつけて香りを確めていた。
「いい香りだな。ほのかに香るのが好ましい。」
睡眠の補佐をすると言われる花の香りだとアリスが説明していた。
アイティヴェルの領地では植物の研究を積極的に進めていると、ミハエルが話すと皇妃様もウィルも興味深そうだ。
「アルはアイティヴェルの植物研究のこと知っていたのか?」
ウィルが投げ掛けてくるが、五年間も離れていたわけで、アイティヴェル領に行ったことがない俺が知ってるわけないだろう。
「学園の夏季休暇にはアイティヴェル領に赴いてこの目で確めて参りたいと思います。是非とも、長期の休みをお願い致しますね。殿下。」
「あー、そうきたか。笑顔の圧がすごい。」
早めにアピールできてなによりだ。
アイティヴェルに行ったらやりたいことがたくさんあるからね。
観光もしたいし、アリスとのデートもしたい。
それから約束したアリスの絵を楽しみにしている。
皇妃様への贈り物は、ケーキだった。
もちろん唯のケーキなわけもなく、シンプルなスポンジの上にたくさんの花が飾られている。
「まぁ! なんて素敵なのかしら」
「有り難うございます。その花の部分は普通のチョコレートですので、一緒に召し上がることができます。」
前から思ってたけど、アイティヴェルの料理人って只者じゃないよね?
アリスの健康重視のお弁当もいつだって美味しそうだし、前に野菜のケーキを軽食にしているのも見たことがある。
レオの妹が昔、ダイエットのためにって不味いご飯食べ続けたって言ってたから、てっきり美容目的の食事って不味いと思ってた。
皇族は、特殊な鑑定道具を身に付けている。
所謂毒殺防止目的だが、ウィルなんて毒耐性が上がりすぎてるから、安全のためだけなら持つ意味ないのでは? と思ってる。
ウィルは、害意を知って対応することが大切なのだと言っていたな。
側近だから話は聞いている。
あれは、 “だから裏切りなんてやめとけよ?” と言われたようなものだった。
俺たちを信用していないのではなく、切迫した状況でどうしてもの選択するときは毒殺を選んで告発しろってことでもある。
当然皇妃様も付けているのだろう。
「美しいだけでなく美味しいのですね。こんな素敵なケーキ初めてだわ。ふたりとも有り難う。」
俺まで頂いてしまったが、本当に美味しかった。
ユアランスの食事、アリスは物足りなかったりしないだろうか。
「なぁ、ミハエル。アイティ」
「料理人の引き抜きは認めないからな。アリスだって両親の健康のために、我が家で料理人を続けてほしいと思っている。」
何で言い切る前に分かっちゃうのかな。
ミハエルは優秀すぎる。
「アリスの願いなら諦めます。夏季休暇のとき料理人を連れてくから勉強させてもらえませんか?」
「あらあら! 噂以上だわ!」
噂とはいったいなんでしょうか、皇妃様。
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