ユアランス侯爵家執事 ビリー ②
□ユアランス侯爵家
アルグランデ付き執事ビリー
ウサギ様の雑貨屋と、手芸店から、ユアランス侯爵邸にお礼の品がたくさん届いた。
「ビリー。うちの息子は、何したらこんなことになるんだ? 唯買い物に行ったなら、こうはならんだろう。」
「普通に楽しくデートしただけだとアルグランデ様は仰ってました。」
「あの子のデートは、まさか私の認識とは異なるのか?」
侯爵様が心配するのも分かる。
普通の貴族がお忍びデートをしたって、普通はこうはならない。
「雑貨屋からの手紙に、“婚約者様と仲良く購入して下さったことが話題になり” って書いてあるが、そんなに目立っていたのか?」
「アルグランデ様は、その日 “店内に人は少なかった” と仰っておりました。」
しかし、外から見ている方もたくさん居たのでしょうね。
ユアランス次期侯爵様が婚約者様と手を繋いでデートしていると、その日街で話題になっていたそうです。
美男美女ですから、さぞかし目立ったでしょう。
それに婚約者と手を繋いでデートするなんて、貴族である以上普通はないですからね!
一般的にはエスコートとして手を添えるか、腕を組みます。
「ウサギ様の売上が三倍だなんて」
侯爵様、手紙の一部分を抜粋していますね。
多分、二世代に渡って有り難う、という内容だったのではないかと思う。
浮気防止アイテムを恋愛成就アイテムに変えたのは、アルグランデ様の母君のユアランス侯爵夫人ですから。
侯爵様に、アルグランデ様は侯爵夫妻の話だと知らないと伝えたら安心していていたが、まさか照れなのだろうか?
親子揃って照れるポイントが謎だと思う。
「手芸店の方は、店員に確認が取れました。」
ウサギ様のために手作り、という話は、他の客や店員に聞こえる音量で普通に話していたそうで。
その後が問題。
何故かアルグランデ様がアリス様の腰を抱いて、ピッタリくっついて内緒話を始めたそうです。
それは‥‥ 間違いなく、抱きついているように見えたでしょうね。
ウサギ様のための台座や飾りなどを手作りするという流行が駆け抜けたそうで、手芸店の売上は勢い良く上がるばかりだそうです。
どうせなら話題の御方の購入した店を訪れて、真似をしたいものですよね。
それにアイティヴェル辺境伯家のアリス様が素材を褒めたそうなので、店としても折り紙つきです。
「街中で婚約者にベタベタするなんて‥‥」
「学園では手を繋ぐくらいだそうなので、流石に疑問に思いアリス様に内密に確認しました。」
「学園でも手を繋いでいるのか!?」
「アリス様曰く、俺が居ては迷惑だろうか? と気になってしまったアルグランデ様が、内緒話のために腰を抱いてこっそり話をしたそうです。」
「男や貴族が行くのはあまり聞かないからな。」
アルグランデ様なら仕方ないといわんばかりに、諦めてるようにも見えるため息をつかれた。
この先は、取り繕っても仕方ないかな。
「その後すぐに、近くなっていた距離に気付いたアルグランデ様が赤面し、動揺から魔力眼が光っていたので、アリス様はそのまま顔を伏せているようにしたそうです。」
「動よ‥‥‥ え、何処でも手は繋ぐのに。しかし、アリスの判断は賢明だったな。魔力眼が光っていたら客や店員は怖かっただろう。」
「あ、いえ。アリス様は、可愛い顔に綺麗な瞳だったので他の方に見せるべきでない、と思ったそうです。」
本当にこう言っていた。
可愛いの? アルグランデ様が?
魔力眼が怖くない女性もいるのですね。
アリス様ってすごいです。
アディの父、大変そうですね。
誤字報告頂きました。有り難うございます。
テンポよく更新を続けていけたらいいなぁと思います。
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