アグニエイト侯爵家 レオナルド ②
□レオナルド侯爵家レオナルド
前回に続いての登場です。
「あ、アディ! 氷を作ってもらうことはできますか?」
‥‥‥‥‥‥え?
「わかった。大きさなどの指定は?」
威圧が止まった。
いやいや、おかしいよね?
婚約者だけは威圧が無効化されてた、なんてあるわけないよな?
それに、剣を向けられたことに動揺とか恐怖はないのか?
「まさか‥‥‥‥‥ 」
女性に剣を向けて、アルに向けられた男が、やっとこの令嬢が誰だか察したようだ。
遅すぎたな。
この女性は、ユアランス次期侯爵が七年間想い続けた婚約者であり、アイティヴェル辺境伯家のご令嬢だ。
それに、怪我人の元に駆けつけた女性に対して騎士が取るべき対応ではない。
アイティヴェル嬢はハンカチの上に細かい氷をもらい、倒れている女性の傷近くを冷やしている。
倒れいる女性は腕を切られている。
恐らく防御傷だろう。
今でも血が止まらないようで、顔色は真っ青だ。
「失礼致します。触れても宜しいでしょうか?」
倒れた女性に抱きついていた女の子が頷くのを確認して、アリス嬢は怪我がないか目視しているようだ。
「痛むところはありますか?」
女の子が首を振り、ポロポロと涙を落とす。
アリス様が優しく髪を撫で、女の子の瞳をしっかりと見て声をかける。
「怖かったですね。よく頑張って下さいました。もう大丈夫です。」
あぁ、すごい。
女神のようだと思った。
見ていた野次馬も同じように思ったようで、同じような言葉が漏れている。
彼女は駆けてきて真っ先に怪我人を心配し、膝を付き、服に汚れや血がついても気にしていないようだ。
そして先程の慈悲深き微笑み。
心を奪われた人は男女問わず多いだろう。
安心したのか、女の子は更に泣いて、アイティヴェル嬢に抱きついた。
この方は、聖女なんかより怪我人に誠実に向かい合っていると思えた。
それだけ、今聖女への評価が俺の中で低いのだろう。
次からアルに戻ります。
ブクマ、☆☆☆☆☆、いいね など
大変嬉しいです。




