アイティヴェル辺境伯家ミハエル ②
侯爵邸に行くなんて、両親は緊張が限界に近い様子で馬車を降りたのに、アルグランデ様は変わらない様子だった。
わざわざ外で出迎えて、俺たちを驚かせた間にアリスのエスコート役を俺から奪う。
今日は正装ではないものの、次期侯爵に相応しい気品ある私服だ。
正直、妹のために着飾っている? と思ってしまったのは仕方ない。
「おはよう、アリス。今日も会えて嬉しいよ。」
驚いたアリスにかけた言葉がコレだ。
キラッキラの笑顔に、甘くて溶けそうな瞳でアリスに微笑む姿に両親は固まってしまった。
「この邸は侯爵邸で、貴方は次期侯爵なんですから、先を歩くべきでは?」
私がそう言って直ぐに父上からは説教が飛んできたが、皇太子殿下から内々に与えられた作戦なのだから仕方ない。
殿下からは、緊張するだろう父の代わりをしてでも、アルに発言する機会を増やしてほしいと言われている。
「構いません。ミハエルとは義兄弟になるのですから。それに、私たちは先日仲間になりました。」
婚約に関する両家の蟠りを解消するための話し合いに来たのに、最初から飛ばしすぎじゃない?
人前では恥ずかしいとか、そういう普通の感覚はないの?
先日殿下に「アリス嬢を愛する仲間だろう? 君たちは。」と言われて、勝手に仲間扱いを受けている。
仲良くしたい、アルと呼んでほしい、とまで言われ辺境伯家の自分に断れるはずなかった。
その後だって、アルは終始アリスの話ばかりだった。
アルは妹の手を取って歩きだし、アリスの方が赤くなっている。
おまけに「アリスの好きそうなお菓子を用意したよ」「後で邸の案内させてね」などと話している。
今日の話し合い、必要かな?
緊張している両親は、ただの気苦労で終わる気がする。
話し合いは、呆気なく終了。
ユアランス侯爵家は、アイティヴェル辺境伯家を責めることはなかった。
それにアル本人が
「この五年間は、俺がアリスに似合う男になるための修行期間だったのです。これからの未来には代えられません。」
なんて言うのだから、父上は目を潤ませていた。
俺だって可愛い妹が嫁ぐのなら、絶対にアリスを愛して幸せにしてくれる男が良いと思っている。
アルは、悔しいけど合格だ。
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