再会
本日二回目の更新です。
そして五年後、学園の入学式の日。
アリスに会ったらまず謝りたい。
それから、五年間分の話をたくさんしたい。
邸に迎えに行きたかったが、事前に使いを行かせたがアリスの兄上から断りの返事を叩きつけられたらしい。
仕方ないがないので、校門でアリスの初登校を待つことにした。
少し待つと、アイティヴェルの家紋の馬車が止まり、辺境伯の騎士にエスコートをされてアリスが現れる。
息が止まった。
容姿的特徴に変化があるわけないが、愛らしく可愛い女の子から、美しく可憐な大人の女性になっていた。
俺と同じ十五歳なのに、五年間にはなかった色香に目眩がする。
はぁ‥‥ 馬車から降りるエスコート、俺がしたかったなぁ。
歩き出してアリスの元に着き、俺は手を差し出す。
アリスが俺を見て、少し驚いた顔をするが、その表情全てが可愛くて愛おしい。
「おはよう、アリス。エスコートさせて欲しい。」
噛んでいなかっただろうか。
たったこれだけのセリフと表情を、昨日何度も練習したが、本当に大丈夫だっただろうか。
「ユアランス様、えっと、はい。」
もう、昔のように「アディ」とは呼んではくれないだろうか。
それに愛称以前に家名呼びになっている。
やっぱり怒っている?
それとも俺のこと嫌いになった?
考えるだけで心が裂けそう。
アリスの小さな手が俺の指先に添えられた。
その瞬間、アリスが何故か目を見開いたが、俺はエスコートして歩きだした。
あぁ、なんて可愛いアリス。
周りの視線を集めるアリスが心配で、つい魔力を通した瞳で男たちを睨んでしまったのは仕方ない。
入学式が行われるホールまで到着して、放課後に話す時間か欲しいと告げた。
「あの、私たちの婚約は五年前に解消していますよね?」
‥‥‥‥ は?
アリスは一目を気にするように、少し音量を落として伝えてきた。
「解消ってどういうこと?」
「え?」
「は?」
新入生は早く着席するようにアナウンスが流れて、アリスは俺に一礼して人混みに消えていった。
五年前に婚約を解消?
「どうした?」
呆然としていた俺に声をかけてきたのは、友人であり、この国の皇太子ウィリアムだった。
「アリスに、婚約は五年前に解消していると言われた。」
ウィルにしては珍しく、「は?」と声をもらして顔を歪めていた。
正直、入学式になんか出ている場合じゃない。
すぐに帰って父に確認したいが、アリスの入学式を見逃すのはどうかと思う。
それにさっきアリスに話したいって言ったばかりで、いや、断られたんだっけか?
「いや、お前は主席入学なんだから新入生代表の挨拶があるだろう?」
それに至ってはもう面倒で仕方ない。
次席のウィルに押し付けても良いと思う。
「アリス嬢に主席入学のアピールするチャンスを次席の私に取られて良いのか?」
「仕方ない。出席する。」
「ほんと可愛い奴だな。」
俺は会場にウィルと入っていき、決められた座席に着席する。
高位貴族だけ座席を爵位順にした奴、ぶん殴ってやりたい。
俺の家の方が爵位が高く、前列になってしまっては当然アリスが見えない。
急に参加する理由が半分以下になった。
ウィルに頼めば、こういう行事の座席くらいもっと自由にできるだろうか。
「座席に文句あっても移動は認めないからな。」
「心を読むのはやめてくれ。」
隣の席に座るウィルから声がかかかけられた。
四大侯爵は対等なので【剣】【護】【知】【整】の順に並ぶ決まりになっている。
ウィリアム殿下と同じ年に公爵家は居らず、侯爵家は俺の【護】と、【知】のファンブレイブだけで俺が殿下の隣になり抜け出すのも大変そうだ。
頑張れアルグランデ