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アイティヴェル辺境伯家 アリス ③




 兄が揃って討伐任務に行き寂しいのか、グレンとアレンは私のところに遊びに来て下さいます。


「姉さま、呼び方は兄さまたちと一緒がいい。」


 そう言われたので、グレンとアレンと呼ぶことにしました。

 アディが長男なので、弟君たちを気を遣うのでしょうか。


 朝は部屋まで迎えてきて、手を繋いでエスコートして下さり、候爵夫妻と五人で朝食を。

 私が勉強してる間は、同じ部屋には居て静かに本を読んでいたり、お昼寝していします。


 ほんと可愛いです。





「急に呼んで悪かったな。それとグレン、アレン。来てくれて嬉しいよ。」


 まさか先代候爵閣下にお茶に誘われるとは。

 グレンとアレンが一緒に行くと言わなかったら、使用人は居てもふたりきり。

 さすがに気まずかった気がします。


「お招き頂き有り難うございます。」


 グレンとアレンは紳士のように頭を下げました。

 まぁ! 可愛い!


「妻は、息子に強めに怒られてね。今は謹慎しているんだ。君に嫌がらせしていたのは、妻専属のメイドだったから。」


 専属のメイド……

 なるほど、それなら権力を盾に下のものに従わせることができるかもしれない。

 もしかしたら、ある程度の人事権を持っているのかもしれないわ。


「だが、誓って妻は何も指示していない。メイドの信仰心が一方的に強かったが、妻は孫の婚約者に嫌がらせなんてしない。ただ、息子の言う通り使用人を御せていなかったことは、大いに反省せねばならんが。」


 候爵様がそんなに怒るだなんて、温厚な姿しか見たことなかったから驚きました。


「姉さま、お菓子食べていい?」


「姉さま、これ美味しい。」


 ふたりは、自分の祖父の真剣な空気にのまれることなく、とてもマイペースだわ。


「グレン、アレン。目の前のお菓子も、飲んでるホットミルクも、お祖父様が用意してくれたのよ。お礼を言いましょうね。」


「「お祖父さま、ありがとう」」


「良い。たくさん食べなさい。」


 ふたりの参加は、突然だったはず。


 軽く身支度を直してすぐに来たけど、到着したときにはお菓子が差し替えが完了するところだった。

 幼い子が食べやすい小ぶりなお菓子に、そして野菜の甘みが活かされた砂糖少なめのお菓子に、そしてふたり用にハチミツが入ったホットミルクが用意されていた。


 ニコニコと食べるグレン様を、黙々と食べるアレン様を、優しいアイスブルーの瞳で見つめている。


「グレンとアレンは、アイティヴェル嬢と一緒に居たのだな。」


「うん。兄さまたち居ないから」


「寂しいか?」


「寂しいけど、そうじゃなくて。アル兄さまに、姉さまが好きなら守れと言われてるから。」


「えっ」


 そんな理由があったのですか!?


「ノア兄さまにも『姉君に寂しい思いをさせてはいけない』と言われました。」


 ノアまで!?

 私、そんなに寂しがり屋に見えて……

 あ、いや、ノアのことだから違う気がする。

 アディと離れてる間に何かあっては兄のために困るのだろう。


「アルグランデとノアルトからしたら、敵のような私たちからアイティヴェル嬢を守りたいのだろうな。信用を更に失うようなことをしてしまったから。」


「敵だなんて思ってないと思います。」


 アディは気にしてないような態度だった。

 なんというか、かかってくるなら受けて立つって感じかな。

 嫌がらせのことは怒っていたけど、私が自分で何とかしたいと言ったことを尊重してくれた。


 多分、そんなに祖父母に興味がないという表現が正しいのかもしれない。

 絶対口に出せないけど。


 対してノアは、後継者選びに口を出されたことを、当時酷く怒っただろう。

 温厚で大人しく見えるノアは、アディより苛烈な性格だと思う。


 多分、閣下はアディの体調を気を遣って言ったように思う。

 まだ子どもだったノアはそれが理解できなかったし、爵位という責任を兄の生きる糧にさせたかった身としては許せないと思ったはず。


『国を護る責だけでは生きようと思ってくれなかった兄上なので、爵位を持たせて民を護るために、と思わせたかったのは意味なかったのかも』


 ノアからそう聞いたことがある。

 私はふたりの気持ちについて、知ってる限りの情報をお伝えした。


「そうか、ノアルトはそれで怒っていたのだな。」


 夫人だって本当は、孫が可愛いのだと思う。


 だって先日の席では、たくさんの果物が並んでいた。

 アディが取り寄せてることを知って、好物だと思っているのだと察しがついていた。


 それに、あの時のユーリの話で涙を流していたのは、今まで疎遠のような関係だった孫の過酷な人生を知り、無事に安堵したように思えた。


 だからこそ、私が泣いたりしなければしっかり話し合えたと思い、あれは私の失態だわ。


 夫人は、お祖母様の言うところの『ツンデレ』という方なのだと思う。

 きっと夫人は素直じゃないのね。


 でも、真意を理解しても、祖父母を兄から遠ざけようとしているノアは良くないわ。



 

 

ここの書き方とても迷いました。

何回も書き直して、アリス目線になりました。


いいね、ブクマなど有難うございます!


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