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姉も妹も居ないから




 疲れた。

 挨拶されすぎだと思う。


 双子は眠そうだし、気がつけばノアは消えてた。

 そうなると俺とユリウスでは捌ききれないほどの人だかりに囲まれる。


 ビリーが人混みをうまく回避して近付き、ダンスのために準備を促すので移動することがやっとできた。


「大丈夫ですか?」


 移動中、アリスが心配してくれた。

 すぐ隣で見上げてくれるアリスはとても可愛い。


「実は、父上に適当なところでアリスと抜けて良いと許可をもらったんだが、この調子ではどうしたものかと。」


「それなら、ダンスは終わってからの方が良いですよね?」


「そうだね。」


 アリスはどうやら抜け出すのを手伝ってくれるみたい。

 こっそりそんな話をしてたら、音楽が流れ始める。


 ファーストダンスはユアランス侯爵夫妻、両親である。

 会場中の注目を浴びても堂々していて、さすがの貫禄と気品を発揮している。


「素敵‥‥!」


 アリスが喜んでいるので、両親に全力で感謝した。


「アリス。麗しき貴女と踊る名誉を頂けますか?」


 手を差し出すと、アリスは返事とともに手を重ね、優しく微笑んでくれた。


 両親に続くのは、俺と婚約者のアリス。

 すぐに弟たちが続くのが普通だが、ノアルトとユリウスは双子を世話をするために事前に辞退を申し出ていた。


 アリスはダンスが得意だ。

 普段から体力作りをしているし、運動が得意なのだと思う。

 子どもの頃に、一緒に走り回ったりできたら良かったな。


「アリスは、ダンスが得意という認識であってる?」


「お兄様やお父様には褒めて頂けていますが、家族以外からの評価は分かりませんね。好きではありますけど、アディ的にはどうですか?」


「俺は経験値が圧倒的に足りない自覚はあるけど、アリスが一番踊りやすい。」


 音楽に合わせてアリスをクルリと回転させ、滑らかにダンスステップに戻る。

 会場が沸いた気がしたが、アリスは周りを気にしていなさそう。


 ダンスは、踊れる体力がついた頃に講師に習ったが、アリス以外と社交の場で踊ることが嫌過ぎて、練習のために母上に練習に付き合ってもらったほどだ。

 たまにリンにも練習相手になってもらっていた。


「ふふっ、殿下たち困っていませんでした?」


 正直に話したらアリスは笑っていた。

 俺は今でも、アリス以外は母上とだけ踊れば良いと思っている。

 俺には姉も妹も居ないからね。


「呆れてたかな。まぁでも、いつもこうだったし。レオの妹なんて『私とはしなくて良いけど婚約者とはこう!』と力の入った座学講義をしてくれたりした。」


「まぁ! 私も習ってみたいわ。シャルロッテ様かしら?」


 彼女は、アリスにとても憧れがあるようで慕っているとレオから聞いているから、即快諾してくれるだろう。


 アリスは、ダンスの練習相手はミハエルか辺境伯だったそうだ。

 騎士とか侍従とか、家族以外と踊るのは辺境伯が頑なに拒否したらしい。


 そんな話をしていたらフィニッシュだ。

 体を離し、ふたりで向き合って頭を下げると、割れんばかりの拍手が起こっている。


 次は俺が母上と、アリスが父上と。

 自分たちはメンバーを入れ替え、今度は客人たちも参加して一斉に踊りだす予定だ。



「可愛い義娘アリス。私と踊ってくれるかな?」


「はい、お願いします。アディ行ってきます。」


 義娘と言った父上の挨拶に、会場がざわざわしている。

 どうして皇都と領地で、こんなに認知に差があるんだ。



「さぁ可愛い息子よ。私をエスコートしてちょうだい。」


「普通は男から誘うのですよ、母上。それに可愛くはないでしょう。」


 母上は見本のようなダンスなんだと思う。

 経験があまりないはずのアリスに遊びを感じるのは、もしかしたらミハエルと辺境伯の教えがそうなのかもしれない。


 俺は勝手にアイティヴェル家の歴史(想像)に想いふけっていた。



 

普通親戚と踊るのともあると思うですが、

アディは完全拒否して過ごしてきました。

強要されるなら社交界にでないと言うから

大人たちが手をまわして回避してしました。

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