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ユアランス候爵家執事 ビリー




 会場はすごい人です。

 家族まで揃えて客人たちは訪れたので、此処は皇都のパーティー会場かと思うほどの人の多さです。


 現在は公爵閣下が挨拶中にも関わらず、令息たちの紹介を待ってソワソワしている。


 旦那様が挨拶の冒頭で、息子たちを紹介すると言ったばかりに、期待値は上がる一方です。


「では末の息子たちから紹介して行こう。」


 旦那様の後ろに控えていた奥様の足元から、きちんと正装したグレン様々とアレン様が現れました。


「五男グレン、四男アレンだ。見ての通り双子で、見た目はそっくりだ。」


 グレン様は三男ユリウス様と同じで感情豊かだが、アレン様は落ち着いていて長男次男と似ていておとなしい。

 仲良く手を繋いで登場だ。


 あちこちから、可愛い、凛々しい、美形双子、などと聞こえてくる。

 キャッキャッしていて明るい雰囲気だ。


「三男、ユリウス。」


「はい。初めての方もいらっしゃると思います。ユリウス・ユアランスです。兄弟共々よろしくお願いします。」


 かわいい、かっこいいなどと騒ぐ淑女の皆様に対して、紳士の皆様は『あれが剣術で有名な三男』などとざわついている。

 剣術で有名でありながら、紳士としての礼儀はきちんとしていて、物腰が柔らかいのがユリウス様だ。


「次男、ノアルト。」


「ノアルト・ユアランスです。将来は兄の補佐をすべく、日々勉学に勤しむ毎日です。どうかお見知りおきを。」


 あ、ノアルト様やりましたね?

 そのお見知りおきを、は名前に繋がるのではなく、忙しいから察しろ、という意味ですよね?


 意図に気付いた大人の顔色が悪いのに、ご令嬢たちは笑顔に見惚れているだなんて、さすがノアルト様です。


 私の隣ではハンナが笑いを堪えています。

 まぁ、そうですよね。


「では最後に、長男の紹介だが、一緒にその婚約者を紹介させてほしい。」


 どよめきが凄い。

 このタイミングでの紹介ってことは、当主か認めている婚約者だと知らしめるようなものだから仕方ないか。


「長男アルグランデ・ユアランス。並びに、その婚約者、アリス・アイティヴェルだ。」


 一気に会場がどよめいた。


 アイティヴェルということに周りが驚いているんだが、どういうことなのか。

 皇都では有名な話なのに、地方には噂話の阻害魔法がかけられていたりするのか?

 そんな魔法が存在するなんて聞いたことはないけど。


 姫君のドレスは、裾に向かうにつれ白から水色に変わる特殊な布の使われている。

 白のファーがとても暖かそうで、それでいて高級感がある。

 装飾には主君の瞳の色の宝石が使われていて、主君の愛情が重すぎるとは思うが、やはり姫君はとても美麗である。


 主君も色合いは同じで、ファーはマント留めに使われていて羽織ではないが揃いのデザインを思わせる。

 何より目立つのはピアスのデザインが姫君とお揃いなこと。

 もちろん使われているのは濃い桃色の宝石で、デザインは珍しく大ぶりなものだ。


 聞いた話によると、用意されたのは侯爵夫人らしい。

 これは、姫君も喜んだだろうけど、そもそも断る選択肢はなかっただろうな。


「ハンナ。なんでユアランスの使用人まで姫君の家名に驚いているんですか?」


「お嬢様は “婚約者のアリスです” としか名乗っていませんでしたから。」


「あー、すごいサプライズですね。そういえば、姫君はどうして嫌がらせをしてくる使用人たちを改めることができたのでしょう?」


 気になっていたのでついでに聞いてみた。

 主人の秘密は守るのが使用人の当然だが、もしかしたら姫君にとっては秘密ですらないのではと思ったから。


「お嬢様はいつも通りでしたよ。」


「え?」


 “いつも通り” 挨拶をして、“いつも通り” 感謝や嬉しい気持ちを伝え、彼ら彼女らの仕事に労りの気持ちで接したそうだ。

 そのうちしたくもない嫌がらせをしていた方が、良心の呵責に耐えきれなくなったらしい。


 あぁ、姫君って善良成分でできてそうだもんね。

 自分なら、嫌がらせしないといけない立場になる前に全力で逃げ出す。


「では、何故使用人たちを遠ざけたので?」


「お嬢様の着替えを手伝おうとした者が居たので、私がお嬢様に願い出て遠ざけました。」


 うん、それは完璧アウトだ。

 姫君の傷痕への話題は、口にすることすら完全なタブーだ。

 なんせ主君がつけてしまったものなのだから、ユアランスでだって絶対に話題にしてはならない事案だ。

 アイティヴェルでも同じ対応なのでは、と察している。





 

アディの回が少なくてごめんなさい!

何回描き直しても

こうしないと話が進まなくて。

次回はアルグランデ回です。

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