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宝箱




「ご歓談のところ失礼します。これより、私の誕生日にちなんだゲームを開催させて頂きたいと思います。」


 レオの声に、場は静まりその声に耳を傾ける。

 使用している拡声器はアイティヴェルが発祥だ。


「では執事から説明させて頂きます。ハンス、頼んだ。」


 ゲームのルールは簡単。

 この会場がある別邸内に、宝箱が隠してある。

 その宝物に応じて賞品が変わる。

 宝物の場所に関するヒントが書かれた紙も用意してあるから、それを見つけて探すのも手段のひとつ。


「宝箱はふたつ。賞品の内容は先にお伝えさせて頂きます。」


 賞品を狙う本気の参加者まで募ってるの?

 楽しむ目的だけでも十分な気がするけど。


 ひとつは、アグニエイト侯爵領特産のルビーを用いた宝飾品セット。

 魔道具を使って映し出されているネックレス、ブレスレット、髪飾りはどれも素晴らしい物に見える。

 本気すぎると思う。


「もうひとつの賞品は、アグニエイト侯爵家長男レオナルド様と行くオペラ鑑賞会のペアチケットです。」


 黄色い悲鳴が上がった。

 待ってレオ、そんなの良いの?


 レオは表情を変えないままだ。

 ってことはコレ、用意したのはレオじゃないよね。

 自らの仕込みなら、声が上がった方に手くらい振りそう。


 誕生日なのに、こんな不本意なことを賞品にされてるの?


「では皆様、どうぞ謎を解いてみて下さいませ。スタート!」


 ハンスの掛け声で、一斉に人々が霧散した。




 俺はというと、モヤモヤして動けずにいた。

 会場を見る限り、リンは居ないし、エドも婚約者と出て行くのを見たから既に居ない。

 ウィルはレオと何か話している。


「アリスは、欲しい物ある?」


「そうですね…… 貴方の心を守れる宝箱でしょうか。」


 アリスの表情は至って本気だ。

 俺がモヤモヤしているの気付いていたらしい。


「宝飾品の空箱じゃなくて良いの?」


「あれは…… アグニエイト侯爵の品だと自慢して歩くための物のように感じました。あれをきっかけに婚約を申し出る方も居るのでは、と。」


 貴族なのだから、政略結婚は仕方ない。

 一目惚れした女の子に婚約を申し込めたことがどれだけ幸せなことなのか、その女の子が自分を好きになってくれたことが奇跡なのか、俺は知っている。


 それでも、レオが嫌がることを強要されているのなら、友人として受け入れたくはない。


 レオはいつだって俺の恋心を応援してくれたのたから。


「アリス。宝箱、取りに行きたい。」


「はい!」


 手を差し出した俺の手をアリスは返事と共に取ってくれたので、俺たちは会場を出た。




「単純に考えれば、適当に探してヒントの紙か、宝箱が見つかればってことなのでしょうが…… 執事の方が謎解きと言ったのが気になります。」


 確かに普通は、宝探しとか言う気がする。

 なのに何故ハンスは謎解きなんて言い方をしたのか。


「場所が分かる謎が既に用意されてるよのかな?」


「ありえますね。気になるといえば、どうしてこれが “誕生日にちなんだ” なんでしょうね?」


「誕生日………そういえば、会場の入口にレオの経歴? みたいな展示あったよね。」


 アリスと入口に向かうことにした。



 はぁ、レオはどうしてこういうことをするのだろう。




 

レオの誕生会3話目でした。


嫡男の婚約者を決めたい候爵夫人と

婚約者を決めたくない理由がある嫡男の

攻防戦です。


前話に矛盾を感じる部分を見つけ

年齢の変更をしています。

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