皇太子殿下からの手紙
前話から続いています。
ウィルからの呼び出し、というのは気になっているだろうから、お喋りしたいのを我慢して話始める。
今日は個室であり、室内にはハンナ、ビリー、護衛一人が待機している。
盗聴防止もされているカフェの個室って、普段誰が使うのだろうか。
もしかして恋人用?
「ウィルから、アリスと夜会に参加してほしいと頼まれた。」
ウィルが体調を気遣って招待しなかったことは、アリスも知っていた。
それなのに、改めて俺を通して誘われることを不思議に思っていたようだが、先ほどウィルに預けられたアリス宛ての招待状で解決した。
招待状には手紙が同封せれていて、内容は分からないがアリスは夜会への参加を快諾してくれた。
ウィル、アリスに何言ったの。
強要したとは思えないが、アリスは途中驚くような顔をしていた。
さすがに見せてとは言えない。
「アディ。ご迷惑でなければ、久しぶりの夜会は緊張するので一緒に居て欲しいです。」
え? それだけ?
最初から一緒に居るつもりだったけど。
「私にも夜会に行く理由が出来たから頑張ります」
なんてアリスは言う。
え? 何を頑張るの?
その夜会で辺境伯に会わせて欲しいと頼んだ。
アリスはビクッと肩が揺れたが、ゆっくりと話してくれた。
アリスは、入学式から帰ってすぐに辺境伯に婚約について尋ねたらしい。
俺だけならともかく、皇太子殿下から聞いたとアリスが言ったのだから、辺境伯は驚いただろうな。
そこまで分かっていたウィルが怖い。
「アリスの家族は俺との婚約解消を望んでいるようだけど、解消してあげられなくてごめんね。頑張って認めてもらえるようにするから。」
「認めてもらえてないのは私の方です! 五年間も貴方に連絡することさえせず、本当のことも知らずに過ごしてしまいました。」
「え? うちの両親はアリスとの結婚を望んでくれているよ?」
「????」
アリスがついてこれていないようだ。
むしろ反対する理由がないと思うんだけど。
会えばすぐ分かると思うよ、とだけ告げて、俺たちはドレスを選びに移動した。
頑張れ、アリス!
次はアリスのドレスを買いに行きます