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婚約解消も婚約破棄も事実ではありません ~最強魔導剣士の初恋の行方~  作者: 陽宮 葵
四章 教会の聖女とアイティヴェル
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ご立腹





 アリスと離れて父と会場の近くにある控室に来た。


 同席者は、陛下とヴィオレット公爵、そして遅れて来たアイティヴェル辺境伯。


 つまり、密談をしに来たわけ。

 けど、爵位持ちでない俺がどうして呼ばれているのか。

 アリスと会場の美食ツアーとかしたかったのに。


「この度は、本当に申し訳なかった。書状は出しているが改めてお詫びがしたくて、陛下に頼んでこの場を設けさせてもらった。」


 聞けば公爵、事の経緯すら嫡男に偽られて伝えられていたようで、それが原因でアイティヴェルより先にユアランスに謝罪の文を送ったそうだ。


 そして、そのことを陛下にかなり怒られたらしい。


「辺境伯、侯爵。我が愚弟が本当にすまなかったな。」


 陛下はこういう人だ。

 悪いと思ったらきちんと謝る。

 ウィルもそうだから、俺は親友を信頼している。

 まぁこの場合は自身のことでないので、公爵に温情をかけてほしいということだろう。


「公爵からの謝罪、受け取りましょう。」


「アイティヴェルも同じく。しかし公爵、ひとつだけ申し上げますが、娘はアイティヴェルの宝です。残念ながら既に嫁ぎ先が決まっていますが、それでも生涯アイティヴェルの宝として、私が代替りしてもあの子に何かあれば全力で対処致します。」


 残念ながらって言ったよね?

 いや、ミハエルが前に、辺境伯はアリスが可愛くて仕方ないから、どんな男でも婚約や嫁入りに否定的な意見が見え隠れするのは仕方ないって言ってたな。


「承知した。それから、報告なのだが、うちの長男は後継者から外すことにした。」


 これには父も辺境伯も驚いたようで、一瞬顔が引きつった。

 俺も驚いたけど。


 普通は、こういう処罰をするから許してほしい、と謝罪するものなのに、公爵は単身頭を下げられた。

 そして謝罪が受け入れられてから、該当の騎士ではなく、嫡男の処罰を告げてきた。


「理由は?」


「それは、アルグランデ様はご存知ですよね?」


 え? 俺?

 公爵は穏やかな表情だから責められてはいないだろうが、まさか名指しされるとは。


「アル、お前何かしたのか!?」


「父上、落ち着いて下さい。学園の皇太子殿下とのお茶で、ちょっと戦っただけです。」


「殿下のお茶会で! 公爵家の長男と! なんで戦っちゃうかな!?」


「落ち着け侯爵。アルグランデがひとりで策を立てたわけじゃないのは、私も公爵も存じている。」


 話に割って入ってたのは陛下だ。

 父上は、怒っているわけではなく混乱している。

 まぁ、いつものことでもある。


「実はウィリアム皇太子殿下から直々に書面を渡されたのだ。殿下は、私の甥でもあるが、いつの間にかすっかりご立派な方になられて、なんていうか、その‥‥‥‥ とてもご立腹でな」


 ウィル、公爵に何したの。

 公爵が未だにちょっと動揺してるし、目を反らして話しているじゃないか。


「はははっ、さすが我が後継。皇弟という立場で公爵であるお前にそこまで言わせるとは。」


 陛下とウィルの親子関係って一般的ではないと思うけど、実力主義の皇族だからなのだろうか。


「父上。公子様は、アリスに近付きたくてわざわざ学園のお茶会にまで現れたのです。それも皇太子殿下のお茶会に。」


「アリスに?」


「皇太子殿下は、自分のお茶会に平然とマナーを破ってまで参加したのは、従兄弟という立場に甘えた考えを持っているのだろうとおっしゃっていました。返す言葉をなく、本当にそうだと思いました。お恥ずかしい。」


 公爵がこう説明してくれた。

 確かに、皇太子殿下のお茶会に、学生でもないのに無理に参加した行いは従兄弟だからとウィルを軽んじてるようにも思える。

 ウィルは、その事には何も言ってなかったけど、そんなに怒っていたのか?




やっとアディのターン。

会いたかったよ、アディ!

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