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婚約解消も婚約破棄も事実ではありません ~最強魔導剣士の初恋の行方~  作者: 陽宮 葵
四章 教会の聖女とアイティヴェル
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使命って何



「此度、貴殿らに報告があり、このような場を設けた。」


 皇族が入場し、陛下は参加者への簡単な挨拶を済ませてから、早々に本題に移った。


 皇帝陛下はウィルと色合いは似てるけど、ウィルは皇妃様に似てると思う。

 まぁ、優しい雰囲気を脱いだら陛下似かも?


「まずひとつ、エトール伯爵家当主を、正式な後継者リュカベルが引き継ぐことなった。」


 正式な後継者。

 この言葉でエトール伯爵の闇が一部見えたな。

 既に学園でのお茶会で三男が引き継ぐと明言済みだったし、没落回避より気になる部分だろう。


 前伯爵は、脱税とかその他多数の罪に問われる形になったが、一番にエトールの領民を憤慨させたのは、伯爵家の子どもたちを虐待していたことだ。

 これが正式な後継者だから虐められていたなんて、ますます加熱しそう。


「そしてふたつ目、エトール伯爵領で精霊の樹蜜が発見された。」


 ひとつ目の比ではない程に、会場が揺れるようなざわめきが起きた。


 当然の反応だろうな。

 当主が裁かれ、没落するのではと思っていたのに、急に樹蜜の発見だものな。

 見つけた現場に居た俺たちも驚いた。


 すぐに、発見の経緯を尋ねるとか、誰が見つけたのかとか、様々な声が上がる。


 要は、偽物では? と言いたいわけだ。


「発見者は、ミハエル・アイティヴェル。妹君が友人の領地を尋ねる際に付き添って見つけたそうだ。」


 一気に静まりかえった。


 まさかここで【英雄のアイティヴェル】の名が出るとは思わなかっただろう。


 ご令嬢同士が友人で、兄が付き添って領地に来るほど親しいのだという事実は衝撃的だっただろう。


「そして、この報告は皇太子から奏上されたものだ。」


 情報が大混乱だ。


 エトール伯爵家は没落しない。

 察するに、後継者の中に伯爵夫人の子でない者が存在する。

 アイティヴェル辺境伯家との関係性。

 精霊の樹蜜の発見。


 陛下は、皇太子殿下の側近が同行していたから側近経由で、という話をしなかった。

 ということは、弱小エトールに皇太子殿下とのコネがあるのか、アイティヴェルのコネかも、などと失礼なことを考えているのだろう。


 皆が一斉にリュカベルを探し始め、陛下の話が終わると、多くの貴族が一斉に動き出した。




「お父様!」


 アリスが辺境伯に手を振ると、気付いた辺境伯が笑みを溢れさせながら近寄ってきた。

 辺境伯って優しいが隙がないって感じだけど、娘のときだけすっごくにこやかだと思う。


「ご機嫌よう、アイティヴェル辺境伯。此度もアリス嬢のエスコートを任せて下さり有り難うございます。」


「ご挨拶有り難うございます、アルグランデ様。早速だがアリス、案内を頼めるか?」


「もちろんです。ではアディ、また後で。」


「気を付けてね。」


 俺は自分の父親と合流予定だ。

 今回は家門への影響が強いから、それぞれ当主と計画を練り、俺たちはその計画通りに一度離れた。




 父上とは、待ち合わせ場所を決めていたのですぐに合流できた。


「兄上、迷いませんでしたか?」


「何やってんのノア。夜会に来るなんて珍しいね。」


「ちょっと使命がありまして。」


 使命って何。

 でも、ノアっていつも本当の目的とか言わないタイプだから、聞いても無駄そう。


「ではアル、行こうか。」


「ノアは行かないのか?」


「別任務がありますので。」


 使命なの? 任務なの?

 まぁどっちでもいいか。



人々の思惑が重い…… 気がした。 

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