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お誘い

ここまでのお話を読んで下さり有り難うござます。

今後もコツコツやっていきたいです。

 

 

 俺の休日は、仕事の消費でしかない。

 後継者としての公務、邸の騎士への訓練が現在の主な仕事だ。

 

 そしてその休日にウィルに呼び出された。

 

「聖女を牢に入れる準備でも整ったのか? 早くしてくれ。これ以上アリスを不安にさせたくない。」

 

「お前は潔くアリス嬢のことばかりだな。」

 

 分かりきったことだ。

 

 数年前、正式にウィルの側近に任命されたとき、俺は「俺の一番はアリスだがそれでも良いなら引き受ける」と言って他の四大侯爵令息たちから散々怒られた。

 何故かウィルだけ腹を抱えて笑っていたけど。

 

「そんな君にお願いがある。」

 

 ウィルの誕生日に合わせて開催される夜会に、アリスを伴って参加してほしいと言うことだった。

 

「実はアリス嬢には招待状を送っていない。君ならアリス嬢の初めての夜会を慎重に選ぶと思ったから、私からの招待状で強制するべきではないと思って。」

 

 アイティヴェル辺境伯には、アリスの体調を気遣い今回は招待状を同封していないと直筆の手紙を添えたらしい。

 

 ウィルは本当に抜け目がない。

 

「時期が早い。アリスは王都に戻ってきたばかりで、今はまだ環境の変化が大きい。」

 

 王都に戻ってきて、学園が始まり、今度は社交の場に復帰だなんて早すぎる。

 

「いいかい? これはアリス嬢のためでもある。」

 

 アリスは辺境伯の娘。

 家格が高い家の令嬢なのに社交の場になかなか復帰しなくては、そんなに傷が酷いのかと噂が立ってしまう。

 

 ウィルに「君だって傷を見たことはないだろう?」と言われて俺は黙るしかない。

 

「それに辺境伯と侯爵家の顔合わせは早い方が良い。」

 

 顔合わせ?

 

 婚約は解消されたと、五年もの間アリスに嘘を付いていた辺境伯家。

 婚約解消の申し出を跳ね返して継続したが、そんなに解消したかったのかと気に病む侯爵家。

 いずれ結婚するなら、この歪みは早く解消しなくていけない。

 

 ウィルはそう話してくれた。

 

「このままでは気まずくて互いの邸でデートすることも出来ないよ?」

 

 それはダメだ。

 アリスが望むなら侯爵邸に来なくても構わないが、俺はアリスの部屋に行ってみたい。

 

 それに親子ですれ違いがあるなら、アリスは俺と家族に挟まれて辛い思いがあるかもしれない。

 

 しかし、夜会は再来週。

 アリスのドレスが間に合うのか?

 

「あ。ちなみに時間が迫ってる自覚はあるよ。午後にアリス嬢を呼び出してあるからカフェで話しでもして、ドレスを作りに行っておいで。」

 

 予約も入れてあると言う。

 

「アリス嬢のドレス姿に会場の男たちは目を奪われるだろうから、君も張り切って着飾って来てね。」

 

 ア、アリスのドレス姿。

 それはすごく楽しみかもしれない。

 

 しかし問題もある。

 俺はアリスの傷を見たことがないのだから、ドレスのデザインを勝手に決めるわけには行かない。

 

 つまり、俺がアリスの傷をつけた事実と向き合う必要があると言うこと。

 

 

 

女性が身体に傷があるなんて嫁ぎ先が見つからないかもって程の事です。アリスを頼みますよアディ!

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