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皇太子殿下ウィリアム ②

□アルグランデの親友、皇太子殿下ウィリアム

 


「なにそれ?」

 

 今日は休日で、アルの家に行ったら水筒と弁当箱のような物をどう包むかアルが悩んでいた。

 包み方まで悩んでいるなんて絶対にアリス嬢の物なのだろうが、何故水筒と弁当箱?

 恋人や婚約者に贈る物ではないのでは?

 

「温度を維持する機能を付けた弁当箱と水筒。」

 

「え! 魔道具ってこと? 作ったの? いや何で弁当箱!」

 

 そんな機能聞いたことない。

 しかも良く見たら、アリス嬢のためにかなり可愛いデザインだ。

 さすがに容器は職人に頼んだらしいが、アリス嬢が使いやすいようにかなり細かく指定したと言う。

 

「俺が居ないときだけ、冷たい弁当だなんてアリスが可哀想だからさ。」

 

 え、いつも弁当温めてあげてたの?

 そんな魔法あった?

 いやあっても普通はしないな。

 

 アルは魔力の膨大さで幼い頃から発熱や体調不良を繰り返してきたが、十五になった今では適度に魔力を放出すれば問題はないと聞いている。

 しかし、その放出方法のひとつが婚約者のお弁当を温めていたなんて、皇室専属の高位魔導師が聞いたら失神しそうだ。 

 

「アリスは健康に気を遣っているらしくて、バランスの良い食事となるべく温かい物を食べて過ごしてきたと話していたから」

 

 健康、というのは美容を含めてらしい。

 アリス嬢、アルとそんな話をするのか。

 打ち解けているようなら嬉しいけど、あの美しい見た目は努力もあったのだな。

 

 学園内にはアリス嬢の女性ファンも多いと報告を受けている。

 

 “美しい見た目と可愛い笑顔、それに慈愛溢れるアリス様はユアランス次期侯爵様が溺愛するのも無理はない。”

 

 そんな噂があると聞いて笑ったものだ。

 アル、無理してると思われてたの?

 まぁ無愛想な男のあの甘々な様子は、正直なかなか信じられないよね。

 

「アリス嬢の名前が入ってるのは良いと思うけど、何でユアランスの家門なんだ?」

 

「温度維持だけでなく清潔維持と破損防止を付けといたから長く使えると思って」

 

 嫁いできても使えるようにっていうのはまぁいいとして。

 

 おかしい。

 皇宮の魔導師だってこんなことできない気がする。

 

 個別にみてもおかしい機能だが、魔石に重ねられる機能は二つ程度だと家庭教師が言っていたはず。

 

 アルは包装に使用する紙を決めて、傍に居た使用人に任せることにしたようだ。

 

「皇宮魔導師になる?」

 

「ならない。」

 

 アルはアリス嬢以外には冷めていて、弁当を温めてあげるなんて絶対にしないだろうな。

 

 それに、温度維持は半日、清潔維持と破損防止は常時発動なんて魔道具。

 その魔石ひとつで貴族の邸ひとつ買えるほどの魔力量が詰まった魔石だな。



親友であり、側近がこんな奴って大変そうだなって思ったりします。頑張れ、ウィル!

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