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アルグランデ・ユアランス

□ ユアランス侯爵家 アルグランデ


 



 * * * *


 

 ユアランス侯爵家。

 

 王族、王家親族である大公家に続く四大侯爵家の一つであり【護】の役割を与えられた特別な家。

 

 嫡男、アルグランデ・ユアランス。

 

 黒髪の見目麗しい男であり、人並み外れた膨大すぎる魔力で黄金色の瞳を輝かせる特殊体質だ。

 

 

 * * * *

 


 

 八歳のとき、とあるお茶会で俺は運命の出逢いを経験した。

 

 アリス・アイティヴェル辺境伯令嬢だ。

 

 ミルクティのような綺麗な色の髪に、桃色の瞳が印象的な可愛い女の子だ。

 

 当時の俺にとっての問題は、出逢った場所が王妃様のお茶会だということ。

 俺と同じ歳である第一皇子殿下のお友達候補を選ぶためのお茶会とされているが、実際は男性は側近候補、女性は婚約者候補だ。

 

 可愛いアリスに皇家が目を付けない保証はない、という悪魔の囁きを受けて俺はすぐに親に打診。

 

 結果、ユアランス侯爵家からアイティヴェル辺境伯家にすぐに婚約の申し出が届けられ、殿下を含めた他の貴族より最速で婚約が成立した。

 

 アリスは俺のことを「アディ」と呼んでくれて、良好な関係で過ごすことができた。

 

 子ども時代の俺は、魔力過多症で熱を出すことも多かったが、アリスがお見舞いきて「癒しのおまじない」と言って手を握って祈ってくれるだけで回復が早い気すらした。

 

 一目惚れで始まった婚約だったけど、優しいアリスに好きの気持ちは膨らむばかりだ。

 

 仲は良かったし、アリスだって俺のことを少しは慕ってくれていたと思う。

 


 十歳までは。

 


 俺を狙う襲撃があり、その際俺の魔力が暴走し俺を庇ったアリスが怪我をした。

 

 アリスは半月も高熱に魘され、背中には傷痕が残ったと聞かされた。

 

 これに辺境伯は激怒。

 その半月の間、アリスへの面会は許可してもらうことは叶わなかった。

 

 自分のせいでアリスが怪我をした。

 消えない傷痕を残させてしまった。

 

 治療師を集めてアリスの元に向かわせたが、それでも熱を下げることくらいしかできなかったと言われた。

 

 俺はアリスの「アディ!!」という悲鳴のような声と、目の前で倒れるアリスの姿が瞼に焼き付いたように離れなくて、俺は魘され飛び起きる日々が続いた。

 

 会うことが叶わないまま、アリスはアイティヴェル辺境伯の領地へ帰ってしまった。

 


 それから五年、会うこともできず、届いた手紙は「また学園でお会いできるまでお元気で。」という一通だけ。

 

 アリスが怒っているのか、泣いているのかも分からないまま、俺は再会を待ち続けた。

 

 魔力操作の訓練は辛かった。

 吐いたし吐血もしたけど、アリスを傷付けたことよりは全然辛くない。

 

 気が付けば、魔導師としての立場が確立され、通り名まで付けられるほど有名になっていた。


 

 

本日中に続きの更新あります。

これからの主人公たちの物語を温かく見守って下さらば幸いです。

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