表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なろうラジオ大賞3 応募用作品

昭和58年1月……某県で某所にて、お菓子隠されて怒る11歳の娘『瑠々子』と、その姿を見て喜ぶ父の親子喧嘩勃発

 これは『なろうラジオ大賞3』応募用の作品です。


 ジャンルは『ヒューマンドラマ』に、しています。

 時は昭和58年1月……本土で一番大きいと言われる県の、ある田舎町において、3軒両隣にまで鳴り響く怒声が発せられた。



「こぉの、アホ親父いいぃぃ!!」



 怒声の主は、ごく普通の平屋建てに住む11歳の娘『瑠々子(るるこ)』。言うまでもなく、この家が咆哮ほうこうの発生源である。



「お姉ちゃん、どうしたの!?」

「瑠々子、何があったの?」



 それまで、炬燵こたつに入ってみかんを食べていた双子の妹『美姫子こここ』とその母親は、瑠々子のすごい剣幕に驚きながらも、耳を傾ける。



「そこのアホ親父が、俺がせっかくお年玉崩して買った高級お菓子(300円)を……隠しやがった!!」


「ええ!?」

「また!?」



 その言葉に再度驚き、瑠々子の対面で胡座あぐらをかいている父に目をやる、母と美姫子こここ


 だが、当の本人はニヤニヤ笑いながら、酒をかっ食らう。



「ありゃぁ? 何処行ったかな? もしかしたら、瑠々子の事が嫌いで、足生やして逃げたんじゃねえか?」


「ふざけんなよ、糞親父……いつも何時もよぉ……」



 父のあまりの言葉に、胸元で血が滲み出そうな程に両手を握りしめる瑠々子。正に、一触即発の状態。



「落ち着いて、お姉ちゃん! こんなのほっときなよ!!」

「あなたもあなたよ! 隠したお菓子、早く出したらどうなんです!?」

「だからオレぁ知らねぇよ。 元のお店に帰ったんじゃねぇの?」



 父は、酒を流し込みながらそうほざくと、炬燵を出て自分の部屋へ向った。その後ろ姿を見て、強く歯軋りする瑠々子。



「大丈夫? お姉ちゃん……?」

「お母さんがまた買ってあげるから……ね?」

「もういいよ! 別に死ぬほど食べたい訳じゃ無かったし!!」



 瑠々子はそう言ってふたりに背中を見せると、扉を強く閉めながら、自室に入って行った。



 2時間後……。



 水を飲もうと台所に移動した瑠々子は、そこで行方不明になった高級お菓子をたまたま発見する。



「くそ、親父め……こんな所に隠しやがって……」



 悪態をつきながら、高級お菓子を手にする瑠々子。すると、背後からこんな声が聞こえてきた。



「そんなにお菓子が食いたいのか? お前は本当に、意地汚くて、可哀想な奴だな……」



 それは、父のものだった。瑠々子は、父の心無い言葉に振り向く事も出来ずに涙する……。



 ……だが、次の瞬間……



 父は口から泡を吹きながら床に倒れた。何が起きたのか解らず、後ろを振り向く瑠々子。


 するとそこには、鬼の形相で手刀の構えをした瑠々子の母が立っていた。



「あなた!! いいかげんにしなさい!!」

 ……おしまい。


 作中に出てきた瑠々子は『俺っ娘』です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前作はこちらです。

瑠々子と、双子の妹『美姫子(こここ)』、そしてその母親の日常

「17時25分……その時、カセットテープに呼び鈴が記録された。」
― 新着の感想 ―
[良い点] どうも、ブリザードさん! 良かったです、面白いです 日常にある、ふっとした出来事が面白いんです [一言]  ありがとうございます
[良い点]  最後。  まさかこんな結果が待っていようとは……。  奥さんの手刀、ずいぶん痛そう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ