05.穴があったら入りたい
永崎紗英、最大の大ピンチ!
脱衣所で動けずにいます。
推しの入浴した浴槽に萌えながら、入浴したのも束の間。
史上最大の大ピンチを迎えています。
ブラジャ-を忘れるという失態を犯しました。
普段の一人暮らし生活が祟ったとはまさにこのことだと思う(大袈裟)のです。
かといって何時までもこうしてる訳にもいかず、意を決してリビングに向かう。
「サエ殿、このテレビという箱は面白いな。リモコン?というもので、多数の画が出てくるのだから」
やっぱりまだ慣れません。
推しの笑顔尊すぎ…。
「お気に召しました?」
机を挟んだジェイド様の向かい側に座る。
「あぁ、この衣類にはまだ少しなれないが…。便利な物がたくさんあってこの国の技術を見習いたいと思う」
マジマジと家電を眺める彼をちらりと見る。
ガン見は良くないよね?
それにしても、普通のTシャツとスウェットのズボン姿でも絵になる。
「眼福…」
「何か言ったか?」
声をかけられ、はっとする。
やばい、声に出てた!?
「いえ、何も」
「そうか」
優しい表情に見つめられ、顔の温度が上がってくる。
テレビから流れる音だけが部屋を満たす。
あぁ、幸せ。
「その、サエ殿…誠に申し上げにくいのだが、何か羽織ってはくれないか?」
視線を逸らし、口元に右手の甲を宛てるジェイド様。
はた、と自分の先程の失態を思い出し。
「おぉぉ…お粗末な物をお見せしました」
隣室へ逃げ込み、自分の姿を確認する。
あぁぁぁぁ…胸部のこと忘れてました。
形がバッチリ出てました。
いやぁぁぁぁぁあああ、一人暮らしの祟りだ~。
一通り身悶え、我に返り、着替える。
「失礼します」
ジェイド様の御前へ戻る。
「こちらこそすまなかった。女人とこんな薄着で距離も近いというのは、慣れなくてな」
視線を逸らされて居たたまれなくなる。
「私の方こそ配慮が足りず」
お互いに深々と頭を下げる。
「えっと、ですね…。明日なのですが、ジェイド、さんのお召し物を買いに行きませんか?」
「私の…?いや、既に今の衣類も用意して貰ったのに」
「それでは外出に適さない物もあるので、できれば一緒に見たいのですが」
そして、間近で推しのファッションショーを見たいのです(不謹慎)
「サエ殿が良いのであれば」
「良いです、行きましょう!」
ジェイド様にかぶせ気味に答えてしまって恥ずかしい。
でも、見たいのです!
明日の楽しみのため、早めに就寝する。
というか、ジェイド様は騎士なのでお休みが早かった。
もう少しお話ししたかったけど、明日はファッションショーだし寝ます。
おやすみなさい。