04.お夕飯と情報交換会
「はぁ、疲れた………」
くたくたになった身体を頑張って動かし、所定のソファへ倒れ込む。
今日は酷かった。
「お疲れ様、サエ殿」
甘い低音voiceが耳に飛び込み、慌てて起き上がる。
しっかり碧い瞳と目が合う。
「た、タダイマモドリマシタ」
見られたくなかった、この姿。
忘れてました、我が家に推しがいることを。
「すみません、お腹空いてますよね。お夕飯を作りますね」
「いや、疲れているようだし…気にしないでくれ」
気にします-、気にします-。
だらしないとか思われたくないんです-。
「先に着替えてから…」
と思ったけど、冷蔵庫の中は空っぽだった。
「えっと、買い物してきますね」
「それなら私も」
「そ、そのお召し物では目立ちますので、またお召し物を揃えましたらお願いします」
そそくさと財布とスマホだけ手に持ち、近所のスーパーへ走る。
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「何が好みだっけ?」
ジェイド様の攻略に関する記憶を呼び起こす。
白身魚のソテ-と香草サラダ。
ダメだ、用意できない…パスタで手を打ちますか。
それと…。
着替えよね?
ジェイド様に着ていただくには、無難にシャツとかジャケット、ズボンくらいかしら?
それに下着…。
妄想に真っ赤になり、適当に衣類をまとめてお買い上げ。
「お待たせしてる、急がないと!」
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「すみません、お待たせしました」
帰宅後、簡単にパスタを作り、おもてなし。
もてなせてないけど。
「大したことない料理ばかりですみません」
「あれだけの短時間で仕上げてくれたんだ、感謝しかない」
笑顔が眩しいです、目が溶けちゃいます。
「では、いただきましょうか?いただきます」
「それは何だい?」
「食事の前のマナ-ですかね?生けるものよりいただいた命ですから」
「なるほど。では私も…」
「「いただきます」」
それから私たちは情報を交換した。
私はゲ-ムの話を除いた、この世界について。
ジェイド様からはゲ-ムの通りの情報を…たくさん話をした。
時折寂しそうな顔をするジェイド様を見る度、ヒロインを思い出しているのかと思うと胸が痛んだ。
たくさん話をしてる最中、私は3個程推しに心臓を捧げられました。
ドストライクの推しはいるだけで危険です。