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03.職場の話

『そういえば、自己紹介がまだだったな。私はライティアス皇国、第一皇子付き騎士 ジェイド・ファーメル・クラウディアだ。よろしく頼む』


えぇ、存じ上げております。

何度そのボイスを拝むため、ゲームをししたことか。

早くも2個目の心臓を捧げた私は、昨日の自己紹介を思い返していた。

一先ず、起きてきたジェイド様に朝食をお出しし、お昼ご飯の用意やその温め方をレクチャーしてから出勤する。

今日帰ってから話し合う予定にした。

でなければ私の心臓が持たないから。

外出は控えていただくよう念を押したし、大丈夫。







********************







「はぁ………早く帰りたい」

気が重くてぼそりと呟く。

「あ、永崎さん。冴島さんのこと聞いた?」

同期の浅井菜々さんが声をかけてくる。

「冴島さんのこと?何ですか?」

「交通事故で右脚骨折の重傷で入院したんだけど、何故か意識不明でしばらく復帰は無理みたい」

「え!?何ですか、それ………」

骨折なのに意識不明?冴島さん大丈夫かな?

「それでね、何かお見舞いに行くって話になって」

浅井さんの話を聞く。

「お見舞いに行くのはお邪魔になりませんか?意識不明なのに…」

「そうだよね、でも…」

「でも?」

あれよ、あれと言わんばかりの浅井さんの視線の先。

やたらと張り切る湯波馨さんがいらっしゃった。

「私は遠慮するって行ってきます」

「待って、私も行くから」

二人して湯波さんにお見舞いは辞退することを伝えた。

「そう?仕方ないわね~、私が代表で行ってくるわ」

にこにこと嬉しそうな湯波さん。

「はい、よろしくお願いします」


「助かったよ、ありがとね」

何故かお礼を言われるが、全く身に覚えがない。

きょとんとする私に、浅井さんはこっそり教えてくれた。

「湯波さん、冴島さんのこと狙ってるの。入社以来ずっと」

「え!?」

「有名な話よ。知らない方が驚きだわ」

「あはははは…」

苦笑いしかできない私。

「あまりそういうの興味なくて」

「ま、いいわ。面倒なことに絡まれなくて助かったし?湯波さんには気を付けてね」

「はい」

お辞儀をし、浅井さんを見送る。

さぁて、お仕事頑張りますか。




私はこのできことのせいで、推し ジェイド様のことをすっかり忘れて帰宅し、また心臓を捧げてしまったことはまた別の話。

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