12.お出掛け
デ-トの約束をジェイド様とした。
楽しみで嬉しくて仕方なかった。
こんなに胸が高鳴るのは、"ゆりゆら"をやってるとき以来…。
あぁ、比較対象が乙女ゲームって…なんだか空しい。
気持ちが落ちかけたところで頭を振る。
ダメ、せっかくの推しとのお出かけなんだから!
鏡と睨めっこをしながら、当日着る服を選ぶのだった。
「お待たせしました」
玄関で待つジェイド様に声を掛ける。
「待ってない、だいじょ…」
「?」
声を失ってるジェイド様。
あれ?もしかして、着る服を間違えた!?
「似合いませんか?着替えましょうか?」
「いや、大丈夫だ!似合っている」
耳が紅いジェイド様。
……………もしかして、照れてる?
こんなのスチルになかった。
感動する…こんな面もあるんだ。
ゲームでは、ヒロインを完璧にエスコートしていて大人の余裕を見せていたのに。
そんな姿に嬉しくなって、思わず顔がニヤけてしまう。
「行こうか、サエ」
「はい」
差し出された手を握り返し外へ出掛けた。
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「そう言えば、そのお荷物は何ですか?」
ジェイド様が持つ荷物を確認する。
「これは弁当だ。サエと食べようと思って…」
やけに大きい荷物を軽々と持ち上げ、弁当だと言った。
2人分にしては多くない?と疑問が湧いたが、折角作ってくれたのだから気にしては負けだと思い、気にしないようにする。
「わぁ、嬉しいです」
「良かった」
ジェイド様が微笑み、その姿に萌える私。
完全に危ない人だわ。
気を付けよう。
そうして、ふれあい動物園へと向かう私たち。
のんびりと過ごす。
可愛いウサギを抱いたり、餌を与えたり。
乗馬体験では、ジェイド様が流石と言うべきか…係員がたじろぐ位見事な馬さばきを披露してくれた。
思わず写真に残してしまった位。
あと、ここでもやはりジェイド様は目立つのか子連れのママさんが振り返ったりしていた。
一緒に来ているパパさんと喧嘩にならないか心配になる程凝視したり。
そんな人が私の恋人だなんて、今世の運を使い果たした…いや、来世とかの運まで使い果たした気がする。
今は水の生き物ゾーンに来ている。
多種多様な水生生物が水槽の中で泳いでいた。
「ふむ、こんな娯楽もあるのだな」
ご、娯楽?いや、娯楽施設か。ジェイド様が呟いた言葉に反応してしまう。
本来の目的から離れた視点で観察している。
その様子すら絵になった。
私は水槽よりジェイド様を見詰めていたらしく、「そんなに見られたら穴が空いてしまいそうだ」と言われ、漸く我に返るのだった。
長らく空いてしまい済みませんでした。
デートはもう少し続きます。




