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第9話 辺境の村へ
二度目の婚約破棄と王宮追放を経た私は、馬車に乗って王都を出た。
向かうのはあの場所だ。
住民達は、別れの挨拶もなしに勝手に村を出た事を、怒っているかもしれない。
元の場所に戻っても、村人たちが受け入れてくれるかどうかわからない。
それでも私は、またその辺境へと足を向けた。
すると、村人たちが集まってくるわくるわ。
彼らは幸福の意味を持つ私の名前を、嬉しそうに呼んでくれる。
「良く帰って来たねぇ、ピネスちゃん!」
「ピネスお姉ちゃん。お帰り!」
「待っていたんだよ!」
彼らは私が戻ってくるのをずっと待っていてくれたのだ。
私が住んでいた家は綺麗に手入れがされていて、まるでずっとここに人が住んでいたかのようだった。
間違いなく、彼らは私が戻ってくることを、望んでいたようだ。
ああ、私の幸福はここにある。
私はやっと、真の自由と幸福をつかみ取ったのだ。
婚約解消ついでの王家からも追放されたので、この辺境の村でやっと思いっきり自由を満喫できる。
だから私は幸せです。