第8話 再びの婚約破棄と、王宮追放
自分勝手な王子達がいなくなった事で、国はますます良い方向へ立て直していった。
振り回された国民達は、さぞせいせいした事だろう。
もうこれなら大丈夫、という所まで復興した日、私は隣国の王子に呼び出された。
「お前の役目はもう終わった、この王宮から追放する。婚約も破棄だ。表向きには、過酷な仕事がたたって病死したという事にしよう」
「なるほど、もう私の出番はなさそうですわね。では、今日中に荷物をまとめて出ていかせてもらいますわ」
生かしてもらっただけありがたい。
好きでもない相手と一緒に仕事をするメリットはないので、私はすぐに了承した。
それ事態は予想できた事だったので、あらかじめ準備しておいたのだ。
まさかそのまま国の王でいてほしい、なんて言われるわけがないのだから。
唯一の懸念は、王としての責務について。
しかし、現実的な考えをしている彼だが、一度懐に入った人には優しいため、これからはこの国の人達にも優しくしてくれるだろう。
そう思ってその場を去ろうとしたら、なぜか出会った頃のように渋い顔をされた。
「未練もないとはな」
「私は自由を愛する女ですので、それでは失礼しますわ」
あと幸福も愛しているけれど、と心の中で呟きながら、彼の目の前から去った。
残された王子は、人前では決して見せないような顔をして「はぁ」とため息をついた。
「あれは良い女だったんだがな。騎士の方にも暇を出すか」