第7話 王子ドライン達の行方
その後、お飾りの王として、国のトップに君臨した私は、幸福はそこそこありつつも、自由とは無縁の生活を送っていた。
いくら偽物といえども、やる事があったからだ。
戦の残り火に苦しむ民を励ましたり、国の復興をしたりと大変だ。
それでも、前に王宮にいた頃よりはうんと良い環境になった。
騎士達は私を敬ってくれるし、使用人たちも素直に言う事を聞いてくれるのだから。
そんなある日、逃げたはずの王子ドライン達が辺境の、私が生活していた村で発見されたらしい。
王都に連行されてきた彼らは、誰かに八つ当たりされたのか、怪我をしていて、しかも酷くやつれていた。
彼らは私の姿を見て、顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「隣国の王と共謀して、我が国を乗っ取ろうとしていたのだな!」とか、「これだから貧しい人間は、信用がおけぬのだ!」とか「身のたけにあわない権力を手にしていい気になりおって!」とか言ってくる。
身のたけにあわない云々はそちらの方だ。
生かしておく理由はないため、彼等はすぐに処刑されることになった。
しかし、せっかくだから、やり返さなければ気が済まない。
なので、彼らが思う通りの悪役を演じて見せよう。
私は、隣国の王子とかりそめの婚約パーティーをあげて特等席で彼らにそれを見せてあげた。
国が悪女にのっとられる、と思い込んでいる彼らの心境はいったいどんな大変な事になっているのか。
口から泡を吹きそうな勢いで、激怒していた。
「残念ですね。あなた方の言う通り、国は乗っ取られてしまいましたわ。あの世で、存分に悔しがっていてくださいな」